なぜか、娘のピアノの発表会に出演し、タイコをたたいてきたので備忘録として記します。

 

ジャンベ

 

 娘は小さな頃からピアノを習っています。娘が師事している先生がとても懐の深いというか、引き出しの多いというか、グレイトな先生でして、劇団の講師などもされているのですが、「ピアノ」に限らず「歌」も教えてくださります。いや、「ピアノと歌」と言うよりは「音楽」を教えてくださると言ったほうが良いかもしれません。

 

 他の多くのピアノ教室と同じように、その教室でも「発表会」が行われるので、毎回習っている生徒さん達と一緒に参加します。いやいや、他のピアノ教室とは異なり、ピアノ発表会ではなく「音楽会」なのです。そしてそのステキ音楽会は「参加」するのではなく参加者たちで「創る」なのです。

 

 そんなこともあり、ステキな音楽会ではピアノだけで無く、歌や合唱も披露されます。なんとなれば、他では恐らく皆無であろう「弾き語り」、つまりピアノ演奏しながら歌うのも見られます。いやいやいや、それだけでは無く「ファミリー部門」なるものがあり、三世代で素敵なハモリ歌を披露したり、お父さんのスペシャルなピアノに合わせて娘が歌うなどが披露されるのです。わが家でも毎回ファミリー部門に出るのですが、なぜか毎度”短編ミュージカル”を披露するのです。

 

 妻は子供の頃にピアノを習っていましたが私は全くの素人のリズム感のない人間で、楽器なども演ったことはありません。なので毎回私は ”指揮者” が演りたいと、つまり娘と妻が演じている隣で、格好良い衣装をまとい、曲に合っているかは気にせず音も出ない棒を気楽に振る仕事をさせてくれと申請しているのですが却下されます。というか、演出内容を聞かされる時には既に企画を先生に申請して「通ったから変更不可」の状態です。私の担当は、、、前回はギター、、、今回は「アフリカンなタイコ」!?です。

 

 演目は「ライオンキング」から2曲、「早く王様になりたい」「サークル・オブ・ライフ」。主演「シンバ」役の娘は歌と踊り、妻はピアノ、「ザズー」役の私はタイコ。もちろんタイコの楽譜はありません、というか太鼓の楽譜というものが存在するのかどうかも知りません。まあ、あったとしても読めないのですが。いやいやいや、その前にアフリカンなタイコなど持ってません。

 

 ということで、今回の音楽会の練習のスタートはタイコ探しからです。そもそもアフリカンなタイコとは? さてさてネットで検索から始めましたが、どうやら「コンガ」や「ボンゴ」というものがあるらしいがお値段はお遊びで買うレベルではなさそうです。じゃあレンタルかと考えましたが、まあ見つからない。そもそも「もの」を見ないことには始まらない、ということで楽器屋さん巡りをしますが、ドラム的なタイコはあるのですが、そこそこ品揃えのある楽器屋さんでもアフリカンなタイコは皆無です。じゃあということで、リサイクルショップ巡りに切り替えて、4店ほど見ましたが成果はゼロ。最後にたどり着いたのが結局のところ結構近居のスーパーの2階、そんなところにあるなんて知らなかった中古楽器屋さんに有りました。灯台下暗し、¥10,800也。

 

 さて、先に“楽譜はない”と書きましたが、だからといって毎回適当にたたく訳にはいかないので、自分で楽譜というかリズムパターンを書く必要があります。これには、すぐに参考となるYouTube動画が見つかりました。

 

 

ライオンキングをタイコなど様々な楽器で1人が演奏している動画で、ばっちりこれで一安心と思いきや、そこから譜面に起こすのが一苦労でした。通常再生だと速すぎて右手左手、音の大きさ拍子が全く分からず、スロー再生すると音もスローになるのでリズムが分からなくなり、試行錯誤しつつ、ざっくり数時間かかってしまいました。楽譜の書き方がわからないので、とりあえず自分が見てわかる絵のような図のような楽譜を自作しました。

 

楽 譜

 

 楽譜ができたので、あとは練習ということで、こちらもYouTubeのコンガ入門動画を見ながら練習したのですが、どうも動画の音色と自分の太鼓の音色が全然違うのです。いまさらですが、調べたところ私のタイコは「コンガ」ではなく「ジャンベ」というものでした。

 

 ジャンベとは、西アフリカ発祥の伝統的なタイコです。打面は羊の皮でできており鉄のリングで挟みロープで張ります。本体は木製で、内部は空洞、下部は閉じられておらず、たたく際は下部を床から離します。椅子に座って膝で挟むか、一部分だけ床につくように斜めに傾けるか、ひもがついているので肩から下げるかしてたたきます。他のタイコに比べて、少し高い華やかな音が鳴ることが特徴です。私のジャンベは、木製の下部の部分に荘厳な柄が掘られていました。

 

 

 ジャンベは、他のパーカッションと同じように、たたく時の手の形とたたく場所で3つの音色を使い分けます。

  オープン・・・大きく響く音

  クローズ・・・低いくぐもった音(ベースとも呼ばれる)

  スラップ・・・高く華やかな音

私は、最後まで上手にたたき分けができませんでしたが、スラップの音は出せていたので、何とか見た目?聞き耳?はOKでした。次にたたき方の基本を列挙します。

  ・手首でたたくのではなく、ひじの上下と腕のストロークでたたく

  ・手が打面に当たる時は、ひじから指先までが一直線になること

  ・その直線とタイコの打面の角度も一直線になること
  ・素早くたたく時はヒールトゥと言われる1回のストロークで2回たたく。2回目は手首だけでたたく。

これらは全て、疲れないように楽に大きな音を鳴らすための動きです。短い時間ならあまり気にしなくてもよいのですが、本気のパーカッション奏者のように数時間たたきっぱなしとなると、上記のような基本ができていないと疲れるし、ケガにつながるそうです。

 

 このような形で、タイコ探しから、楽譜おこし、たたき方の習得、などなどを経て、本番は六花亭札幌本店 ふきのとうホールで、公演はうまくいき、大変好評でした。ありがたいことに、公演後に複数の方から”よかったよ”とお声がけ頂きました。

 

 

 ここまで、つれづれなるままに書いてきましたが、中々無い経験だったと思っています。まず、娘の音楽会に参加する親がどれだけいるだろうか。ピアノやギターや歌ならまだしも、ジャンベを演奏する人がどれだけいるだろうか。誰にも教えてもらえない中で独学でここまでジャンベに取り組む人はどれだけいるだろうか。インターネットやYouTubeが無かったら恐らくここまでできなかったものと思います。