「あなたの願いを、ひとつ叶えてあげましょう」
と天使に言われたら、あなたはなにを望みますか？
美貌？ 富？ 若さ？
わたしはこう答えます。
「わたしは何ものか教えてください」と。
理由は、
自分がほんとうの望むものを手に入れたいと思ったら、
その望むものが、
ほんとうにわたしに必要なのか確信できたら、
手に入ったとき、ほんとうに満足できると思うのです。
ほんとうに幸せだと実感できると思うのです。
そのためには、
自分がなにものかを知ることでそれがわかると思うのです。
いえ、それしか知る方法がないと思うのです。
あなたは、欲しいと思うそのものを
ほんとうに必要としているのでしょうか？
美貌は必要ですか？
あなたはルビーなのに、
エメラルドになりたいと思っているのでは？
富は必要ですか？
ミノス王の神話を思い出してください。
あなたが手に触れたものすべて黄金に変わってしまったら、
なにも食べられないし、恋人にも触れられなくなります。
若さは必要ですか？
いつまでも若々しくフレッシュなことは素晴らしいことです！
しかしそれは内面的なことです。
実際にもし魔法をかけられて
永遠に二十歳のあなたは幸せでしょうか？
愛する人はみんな、時間の経過とともに
あなたをおいて別の世界へ去っていきます。
いつもいつも、永遠に
あなただけがここに置いてけぼりです。
あなたの願いを、ひとつ叶えてあげましょう。
あなたの願いはなんでしょう。
空に月があるとほぉとします。
ようやく膨らんできた若葉のような月が
空に浮かんでいました。
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