野外に出ると日差しが強く照り付けていた。
おまけに人口の倍増で熱気を保温状態にしているかのような暑さだった。
スタイリストになった気分のルピナは上から下までヴレイの衣装をコーディネートすると、その足でシリウスが受験している試験会場へ向かった。
試験会場になっている自警団本部にはすでにリウドが暑さを凌いでいた。吹き抜けになっているエントランスは風の通り抜けが良かった。デュラッセとリューランも露店で買った飲み物で涼みながら、三人で一服していた。
サングラスの眉間を少し下げたリウドは不審そうにヴレイの服装を窺った。そして何も言わず元の位置にサングラスを直した。
「何か言えよっ、変なんだろ」
「変って何よ、私が選んだ服に文句あるわけ」
「明らかに変だろ、何だよこの格好」
服屋の亭主は祭りの時だけ着る、縁起の良い民族衣装なのだと説明してくれた。
麻生地のパンツは動きやすいが、原色ばかりの糸が織り込まれたケープは肩から斜めに掛けて腰のベルトで締められている。
おまけは何種類もの石が通されたアクセサリーを何重にも首や手首に巻き、髪を結う紐にも同じ物を着けられた。
フレイヤ城で無理やり着させられた堅苦しい服装の方がまだマシと思った。
衣装に悪気はないがヴレイは赤っ恥をかいたような羞恥に赤面するしかなかった。
「筆記は昼前までに終わるから、そろそろ終了の頃だろう。ようルチル久しぶりだな、ロイン王子もお久しぶりです、恙無くお元気そうで何よりです」
リューランは二人を慣れた様子で向かい入れた。デュラッセも同じように二人と抱擁を交わした。
ロインは誰にでも無垢な笑みで開放的だが、ルチルと言うロマノの政府幹部だろう男は、誰にでも同じような含み笑いを向ける接し方だ。と言うよりデュラッセやリューラン、シェノルとは普段から会っているような、軽い挨拶だった。
昼になって会場からは多数の受験者と一緒にシリウスが出てきた。そしてリウドと同じ様にヴレイの服装を眺め、「うん」と頷いて何の意味もなさそうな愛想笑いを向けてきたので、ヴレイはまた眉間に深い皺を寄せた。
「なんだよ」
「いえ、似合っていますよ」
「似合わなくていい、それより午後は実技なんだろ、大丈夫なのか」
「自分で言うのもなんですが、私の場合氏より育ちですよ。やれるだけのことはやりました、後は実力を出し切るだけです」
迷いのない屈託の笑みを見せた弟子は凛然としていて、デュラッセは自分の事のように安堵した。
「とりあえず、飯に行くか」
この混雑した露店街で、皆でテーブルを囲むことは困難だった。
ルピナはロインと同行し、護衛としてリューラン隊長とヂュラッセが付いて行った。リウドは単独で食事に行ってしまい、残されたシリウスとヴレイは村の中で最も活気付いている繁華街で食事をすることにした。