第87話 届いたメール | 虹のふもとに眠る宝は何だと思う?

虹のふもとに眠る宝は何だと思う?

小説家デビューを目指し地道に執筆活動を続けるyuuma(立花 佑)の日記です。2017年からWebライター始めました&杉山貢大農園のお茶ネット販売&ハーブ畑作り&アルファポリスにて小説掲載中〜!

 祭典初日は諸外国からの観光客や、村人以外の魔導受験者で市場も宿泊施設も大混雑した。

 村の空港も激しい船の出入りで、交通規制まで行っているほどだ。露店は通常の倍は軒を連ね、旅芸人や大道芸人が競って芸を見せている。


数年前までは村人だけで質素に行われていた祭りだったが、魔導試験を祭典初日に行うようになったことと、機械化の発展で個人飛行船を持つようになってから各国の王族や首相、冒険家などが物珍しがって訪れるようになった。 

その御かげで村の名が大陸中に広まり、祭典の時期になると観光客が集中して訪れるようになったと宿主が教えてくれた。

 

 村全体が目覚める前にシリウスは朝食を済ませ、午前中に行われる筆記試験を受けに自警団本部へ向かった。

 臨時の宿泊施設を設けてはいるが、彼等の宿泊している小さな宿も見事に満室となり祭典時の時ばかりは、隣人の手を借りるほどの盛況ぶりだった。


朝食の片付けが終わってから休憩を貰ったヴレイは洗い場を借りて自分の衣服を洗濯した。個室に設置されている小さなベランダに洗濯物を干すと、湿った風が部屋の中に入り込んだ。


人通りが多くなってきた路地を眺めながら、そろそろ副指令からの報告通知命令書がメールで届いていそうな頃だと思いダグノートを開いた。デイルの家を出てから受信フォルダをまだ開けていなかったのだ。

 運良く宿の全個室にはダグ回線が装備されていた。受信フォルダを開くとそこには副指令とノアからのメールがいくつか届いていた。予想通り、報告メールを送れだの、何故連絡をくれなのなどの内容が送りつけられていた。

 

 ヴレイはノアの怒った顔が目に浮かんでゾッとしていると、数日前の開けていないメールの中に、送信元はセイヴァ本部だが送信者がイーグルと提示されているのを見付けた。珍しい送信者にヴレイは少し戸惑った。

良くない予感を察知しながら、イーグルからのメールを開いた。


『ノアがお前からの返信メールがこなくて怒っていたぞ』という見出だしから始まり本文は唐突に緊張感を増した。

『第一艦隊は作戦局一課の第二少佐ノアと新人の技術部一尉を乗せ、グランドラインとの境界海域に浮かぶ海上要塞の調査に出る予定だ。本部で調査を進めているうちに可能性として挙げられた所有国はロマノ国。グランドラインで最も機械化が進歩し、インジョリックを最も意識している国だ、それに廃棄された無人要塞と見せかけて、こちらの情報あるいは非合法の武器や船を密輸している可能性もある。しかもロマノは軍拡材料をインジョリックから多額の鉱物と交換に輸入している事が分かった。しかも一つの国からではなく、どうも複数の国々から輸入しているようで、今まで何も浮上しなかったのは上手く分散させていたからだろう。

とりあえずまだセイヴァだけで動いている、これを読んだらなるべく早く消去してくれ、ロマノに洩れたら厄介だからな。それとノアにはメールしてやれよ、うるさいぐらいに心配しているからな』


そしてもう一通、ついさっき入ってきたばかりのメールを開いた。ヴレイはそのメールに目を通すなり、ノアの安否で頭が一杯になった。

『第一艦隊が海上要塞からの攻撃を受けた』

呆然としていたヴレイはハッと我に返ると、ダグノートを持って一目散に部屋を飛び出した。混雑している人込みをかき分け神殿へ向かった。


祭典の時だけ神殿の広場には七本の白亜の柱が立てられる。そしていつもは使われない大扉が開かれていた。輝く清い亜麻布の衣を着て、頭には純白のレースをかぶせ、腰に金の帯を締めているシェノルの姿を見つけた。

彼の側にソラの姿を見付けてヴレイは見失わないように急いで追った。


「ソラ、シェノル、丁度良かった探していたんだ、今時間あるか」

やけに真剣なヴレイにシェノルは祭司室を案内した。そこでダグノートを開き二人にメールを見せた。





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