ごきげんよう、百合喫茶Le Lis(ルリス)です。
当グループでは百合をコンセプトとしたカフェを不定期に開催しております。
第二回開催決定!2019年12月1日(日)池袋にて開催いたします。
第二回開催は聖ルリス病院を舞台に「社会人百合」をお届けいたします。
ご予約は終了しましたが、当日席のご用意がございますので、お時間のある方は是非各枠開始時間に会場までお越しくださいませ。
本日も翡翠とあんずのお話です。
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「おかえり」
遅くなると連絡をくれたはずの彼女が、思ったよりも早く帰ってきた。
一人でいても落ち着かないからと持ってきていた仕事を片づける。
傍らにいた愛猫は、翡翠が席を立つのと同時に寝室に行ってしまった。
1日ぶりに見る恋人は、いつもの可愛い笑顔ではなく真剣な顔をしてソファーに座った。
「今…話いい?」
「いいよ」
切り出したあんずに近づき隣に腰掛ける。
―― ここのところ忙しく、きちんと話をする時間も作れなかった。
「大丈夫」とほほ笑む彼女に甘えてばかりいた。謝って、またあの笑顔を向けてもらえるだろうか。
あんずは、今までの女性たちとは違う。今までみたいにスマートにできない。
時計の音が響く中、あんずの言葉をひたすら待った。
自分から話し出すのは簡単だけれど、昨夜のように怒る彼女も、今朝のように顔を合わせてもらえないことも初めてで、翡翠が彼女の決意を奪うのは間違っている気がしたから。
そんな彼女が震えた声で絞り出したのは、思ってもみない言葉だった。
「昨日のお昼休み、階段で何してたの?」
「お弁当食べたで。美味しかった、ありがとう」
首をかしげながら返すが、どうやら違うららしい。難しい顔をして首を振られてしまった。
「違う、その前。階段で…」
「研修医のレポートの相談にのってたけど」
「頬に、触って…?」
(頬に…?)
記憶のない翡翠は賢明に昨日のことを思い出す。
確か、週末の締め切りのレポートなのに今更質問してきた研修医の子がいて。
珍しい症例だなと思いながら聞いてたら…
「あ」
確か、まつげが入って目が赤くなってたから取ってあげたんだ。
「ん?あれ見てたん?まつげ取ってあげとってんけど」
「まつげ?」
難しい顔をしたままのあんずが、今度は首をかしげる。
「そう、まつげ。こうやって…」
あんずの頬に触れ、昨日やったように上を向かせると目の端をちょんと触った。
(あー、そっか、勘違いしてしもたんか)
納得のいった翡翠と、想像にしなかった言葉を伝えられたあんず。
あんずはそのまま目を泳がせ考え込んでしまった。
「え、と。それ、だけ…?」
「それだけやな」
「嘘…」
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続きのお話はまた今度。
それではまた、ごきげんよう