稲城市若葉台2丁目おとなと子どものピアノ教室

若葉台ピアノサロンです。

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9月29日(金)19時〜オペラシティにて、サー・アンドラーシュ・シフのリサイタルを聴きました。

​カジモトのサイトから

 

開演前、ざわつく客席内に入ると、ボソボソと何か喋るアナウンスが入っている???という感じで、シフの挨拶が聞こえました。

最初の方は聞き逃しましたが、「皆さん、一緒に素晴らしい音楽を楽しみましょう。」と話していたようです。

​シフが選定したベーゼンドルファー

 

今回は奥様の通訳ではありませんでした。

(開場した時に、ホワイエでお客様を迎えていらっしゃったので今日は違うかな?と予想)

シフに「友達」と紹介されたお若い方が通訳でした。

ピアニストでしょう。

プロの通訳ではないので端折られた部分もありましたが、シフの英語は簡単なので、多少の英語と音楽の専門用語が分かる人にとっては適切な言葉選びでした。

 

​当日発表の曲目

 

1曲目は、誇張や飾り気の無い、すっきりした音の平均律。

日頃、いかに、天才が作った音楽を、凡人が少しでも聴こえ方を良くするために弄繰り回しているかを知らしめるような演奏でした。

(凡人には真似が困難なので指導の参考にはならず‥)

 

2曲目は、昨年、2回弾いたバッハのカプリッチョ。

昨年の実験的なレクチャーコンサートに比べて、今回は練られていたようで、語りも演奏も分かりやすく、磨かれていました。

 

モーツァルトとハイドンの違いに言及し、ソナタ、ヴァリエーション、ソナタと続きました。

ユーモアとサプライズは、シフ自身がとても楽しんで演奏していたので、挨拶にもあったように、会場が一体となって楽しめたのではないかな?と思いました。

ヴァリエーションで繰り返されるフレーズが、絶妙に息が長くて、やっぱり真似できないなぁ‥と聴き入ってしまいました。

(こういうことが聴いて分かるようになる指導が日頃からできたら良いのですが‥。余り需要が無いでしょうかね。。)

 

リピートを省略しないソナタは、感覚で聴いている分には良いかも知れませんが、頭で聴いていると、同じ話が2回目という感じになるのか、上の空になってしまう人もいるようです。

ソナタ辺りで、目の前のおじ様が軽くいびきをかかれていたようで、その隣のお姉さまが横を向いて睨みつけていたのが怖くて、私は集中が切れてしまいました。(私はお姉さまが横を向くまでいびきには気付かず‥)

 

ここまでで、前半が終わったのが、20時45分。

休憩20分で21時過ぎから後半。

普通なら、ここでお開きになっていますね。

 

日本人はベートーヴェンが好きだと仰って、後半は日本人にサービスでしょうか?人気のワルトシュタインと、子どもの頃から好きだという30番。

(川崎でも日本人に人気のテンペストを、昨年同様、3楽章をゆっくり弾いたらしいです)

 

アンコールはゴルトベルク変奏曲のアリアでした。

 

 

 シフは、ソナタのリピートを省略しません。

それは、作曲家が聴衆と親しくなるため、というような事を言っていました。

だから、リピートしないなら、最初からリピートの無い曲を弾けば良いという冗談も。

 

私は、この件について、音大生の頃から引っ掛かるものがあって、当時、上手く説明できなかったけれど、先生に「リピートを省略するのではなく、リピートの無い曲を選曲したい。」と言って、「は?何言ってるの?」と不機嫌にさせたことがあり、先輩にも「あんたね~、先生に向かって何言ってんの!」と怒られました。

 

正しいかどうかは別として、作曲家が聴衆と仲良くなるためのリピートなのだとしたら、何も変に弄って“1回目と2回目は変化を持たせないと聴衆が飽きる”だとか考えなくても良いですね。

そして、やっぱり、天才だから客が飽きない。

悲しいかな、凡人が真似したところで成功率は低いでしょう。(それでも、こっそり真似します。)

 

長く引っ掛かっていたことに対して、納得できる演奏が聴けて、それが解釈として正しいかどうかよりも、一つの答えを見出せたことにすっきりしました。

 

作曲家をどこまでもリスペクトし探求し続ける天才の、次の来日が楽しみです。

次はフーガの技法が聴けるのかな?

(それまでに、シフの英語のニュアンスが、もう少し分かるようになっていたいですあせる