こんばんは
お元気でしたか? などと儀礼的に聞くにはあまりにも
意味深い言葉だなあとこの瞬間つくづく痛感しています。
命の危険もなくお元気でした? それなら本当によかった。
かなりの実感を込めてそう思います。
かく言う私ーーちょうど一ヶ月ぶりに自分の机のパソコンに向
き合っています。 ロンドンから今帰ったのではありません。
実は入院先の済生会横浜南部病院病院からたった今帰宅し
とりあえず一ヶ月ぶりに風呂に入ったところです。
両腕に何箇所もの点滴のv注射針のあとが生々しく残っています。
一ヶ月前の3月21日ロンドンに向けて出発。2週間を
イギリスで過ごしました。 カンタベリーとヨークでは主に
英国国教会とカトリックの歴史の軋みを思いながら
過ごし、ストラットフォードでは4つのシェイクスピア劇を
観、最後のロンドンでミュージカルを2つ拝見しました。
そこまではきわめて順調にうきうきと感動の日々を過ごした
のですが帰国の直前事態は急変しました。
他人の健康状態の推移を事細かに説明されるのを
聞かなければならないのは辛抱の要ることです。 そう思
いませんか? 説明する本人は自分だけが大変な思いをしたと
感じるものですから、話しているうちにどんどん陶酔感に
陥ります。 客観的にはよくある、どうってことないことが多いも
のです。 それをいちいちうなづきながら聞くのも骨が折れる。
ですから私の説明をまじめにお読みになる必要はありませ
んので適当にスキップしてください。
飛行機に乗る直前、鳴りを潜めていて喘息の発作に見舞われ
てしまいました。 さてロンドンの救急医療にお世話になるか
否か!! そこで足止めを食らったら日本にいつ帰れるか
分かりません。 それにロンドンで臨終の場合、冷凍した私の
死体を航空貨物として日本へ運ぶ手続きをするのにほぼ
一週間かかります。死体は貨物です。
とりあえずは成田へ!!という結論を出し
緊急用に持参しためメプチンクリックへラーを初めて使い
最初の発作を抑えました。
日本までの11時間15分の飛行時間中、3度の発作に襲われ
ましたが、先ほどのメプチンへラーでしのぎました。 成田に
滑り込みセーフ。 帰国したら自分のカルテのある横浜の
南部病院救急センターに突進するのがいちばんと思いました。
成田からタクシーで我が家へ。 スーツケースを
どさりと玄関において救急車で病院へ。 そしておとといまでは
点滴棒からぶら下がる二本のチューブを眺めながらベッドに
くくりつけられた状態でした。
喘息による呼吸困難は何回も経験がありますが、今回のように
飛行機で、これでもう事切れるか!!と思ったのははじめてです。
幸い座席が最後尾No.58の3席の一つでしたので目立たなかっ
たのは幸いでした。 機内で大騒ぎをすると、ヒースローに逆戻り
なんてなったら大変です。 かつて主人の同僚が成田を経って
バンクーバーに向う途中稚内上空で心筋梗塞になり、機内に
居合わせたドクターの指示で成田にユーターンしたことがあり
ました。 あの時はジャンボジェットでしたから500人くらいの
乗客に大迷惑をかけてしましました。
そんなことが頭を掠めていましたから、いざ日本へ!!の
一念でーーーー
病院の生活はお好きですか? 私はどちらかというと嫌いな
ほうではありません。 喘息で入院したのは現役時代の4年前
に一週間。 今回と同じ済生会横浜市南部病院です。
前回もそうですし、またしばしばお世話になってきた救急車での
駆け込みでもスタッフの皆さんの対応は感動的なほどやさしい。
人様に親切にすることの少ない私なのにこんなによくしてもら
っていいのかしらと申し訳なく思うほどです。 お医者様も看護師さ
んたちも言葉の中のやさしさの歩留まりが100%にちかい。
お薬が体にやってくる前にもう元気にならざるを得ない気持ちに
なります。
病院のいいところは時間割が単純で、ぼうっとして生きていら
れるところにあります。 うちにいるときはこまごまとした時間割で
生きているかといえば、そうでもありませんが、病院は最初の
3日間が過ぎれば、後はどばどば団子状になって過ぎていきます。
得に今回は19日間も点滴が続きましたから、身動きがとれず、
ベッドにいる自分は単なる太目の棒っきれです。 トドと言ってもいいで
すがトドはやたらと動きます。だから太目の棒。
お手洗いに立つときは点滴のぶら下がる金属製の点滴スタンド
をガラガラ押しながら歩きます。
この姿を客観的に観ると丁度「反省しているサル」みたいです。
ですから病院の生活は棒きれになったりとサルになったり。
このニ者の間を行ったり来たり。 単純です。
病院の素敵なところは、台所に立たなくてもお食事がきちんき
ちんとやってくること。 今回の入院で驚いたことは、2日前に、
お肉系、魚系、パン食系、ご飯系と選択できること。 このほか
にもちろん病状によって塩分調整などもありますから配慮の
細やかさは大変なものです。 これまで作ったことがない
ような野菜の炊き合わせメニューなども多くありました。
人間は誰しも死刑を宣告されていますが、与えられた命の中を
それなりに大切に生きるように仕向けれれています。 肉体の
命が終わるまでを託されているので、粗末にしては相成らぬーー
そんな気持ちを病院は後押ししてくれる。
棒になったりサルになったりしながら楽しい病院生活でした。
看護師の皆様、先生方、どうもありがとう。
ではおやすみなさい。







