人さまの苦しみに触れて、私の心にも変化が生まれた

母が教会に入会した頃、私は教会でのお役を頂き、さまざまな会員さんと関わるようになっていました。

それまでは、自分自身の悩みや苦しみで精一杯で、とても人さまのことにまで目を向ける余裕はありませんでした。

しかし、お役を通して多くの方々と関わっていくうちに、それぞれが想像もできないような悩みや苦しみを抱えて生きていることを知りました。

末期の癌で明日をも知れない命と向き合っている方、幼い頃から親に虐待されてきた方、借金に追われ、苦しい生活を送っている方……。

聞いているだけでも胸が締め付けられるような体験をされている方々が、たくさんいらっしゃいました。

そのような方々と接する中で、私は少しずつ、自分の悩みだけにとらわれていたことに気づいていきました。

当時、私が学んでいた教えの一つに、

「自分が変われば、相手も変わる」

というものがありました。

私はその教えを信じ、まずは自分自身が実践していくことを大切にしていました。

教えを学ぶだけではなく、日々の生活の中で実践し、それを積み重ねていくことに意味があると思っていたからです。

そして、関わっていた会員さんたちにも、そのことをお話ししていました。

母にも、私たちの周りには、自分たち以上に大きな悩みや苦しみを抱えている方々がたくさんいることを伝えていました。

その後、母自身も教会で、さまざまな悩みや苦しみを抱えている方々とご縁を頂くようになりました。

それをきっかけに、母も少しずつ自分のことだけではなく、外の世界に目を向けるようになっていったのです。

すると、あれほど強く抱いていた父への気持ちも、次第に薄れていったようでした。

そして、母は父に謝ったそうです。

その後、母もまた、人さまのために何かできることがあればという思いから、教会でのお役を頂くことになりました。

振り返ってみると、人さまの苦しみに触れたことは、私自身にとっても、母にとっても、心の視野を広げる大きなきっかけになったのだと思います。