🍀✨✨東西ハーフストーリー✨✨🍀
《芝居の道をまっしぐら》
⭐️5編充実稽古の為の順番大作戦の巻⭐️
本読み稽古が即始まるという事で、まさか
あの重たい「テネシー・ウィリアムズ一幕劇集」をいつまでも引っ提げている訳にもいかず、次の稽古日にはM先生の配慮で
劇団のスタッフの方が、それぞれの劇5編の台本を人数分作成して下さっていた。
勿論私達は自分が出演する台本のみなので
ホッチキス止めで、軽く字も大きくなっていてありがたかった。
最初の数回はひとつの劇の本読みを、残りの全員も共に聞いて、他の脚本からもテネシーの世界を毛穴から吸収する為のM先生の演出術のなせる技と、他の人達がどんな演技をして、先生からダメ出しやアドバイスを受けるのを聞く事は、自分の芝居に対して良い刺激になり、とても良い訓練の場となったが、上演時間が一編につき平均20分としても、ダメ出しで止まると優に30分は超え、五編終わると稽古時間終了になってしまう。
それで何度かこの稽古を繰り返した後
次に見てもらうグループのみが稽古を見学し残りの3グループは本稽古の邪魔にならない所に散らばって本読みや、打ち合わせの自主練習を行うことになった。
上演の順番はまだ未定なので、演る順番と観る順番をうまく回して、偏りなく5編が観られるように工夫されていた。
こうして瞬く間に4月の入所式から1ヶ月が経ち、5月のゴールデンウィークのお休み期間が終わるとすぐに立ち稽古に入ることとなった。
立ち稽古と言っても登場人物は2〜3人
全て1室内の出来事か、私とY君の「財産没収」だけは外の設定だが、それも一幕一場だけなので、早くから立ち稽古に入った方が、価値的に自分の役作りにも繋がるのでこれはとても良い試みだと思った。流石に百戦錬磨の演出家のM先生の判断は的確だと今にして懐かしく思いを巡らしてみる事がある。
立ち稽古は稽古場の中心に稽古する為の空間が床に色付きのテープを貼って示され
本番よりは少し小さめだが、主だった椅子やテーブルベッドなどはそれの尺(長さや大きさ)にあった物を稽古場にある物で見繕いベッドなども比較的早い段階から、劇団倉庫からある物で見繕い用意されていた。
これも最初だけは1編の作品を残り4グループも全員で観たが、それは1〜2回で終わり、後は本読みの時の要領で演る組と
次演る組だけが稽古に参加して、残りの組はダメ出しされた所の復習や新しいやり方の練習を何度も試して次に先生に観てもらうまでに修正や工夫を繰り返しながらが
通し稽古なども熱心に頑張っていた
最初の本読み稽古でほぼ台詞は皆頭には入っていたが、役によっては長台詞で怒りをヒステリックに独白したり、相手に喧嘩をふっかけるように喚くなども多かった為
先生は最初は台本を持ったままの立ち稽古も許可して下さったが、ほぼ皆が覚えていると判断された時からは、脚本を放しての
立ち稽古に切り替えたが、とは言うもののうっかり台詞を飛ばしたり、つっかえて出なくなる事も考慮して、次に稽古に参加する観ているメンバーに「プロンプター」
をするように要請された。
プロンプターの仕事とは、演劇やオペラなどで台詞を忘れた人に、舞台の袖や舞台後方の幕の外側から小声でセリフを教える役目をする人の事を言う。
但し稽古の最中では舞台に見立てた前方(演出者側)から、役者の立ち位置や動きに合わせて時には移動しながら、顔や口の動きをよく観察していて、忘れていると判断したら忘れた台詞を台本通りに素早く小声で教える役目を担う。
ゆっくりした台詞のやり取りの時は忘れているのか、芝居でわざと間を開けているのかが分かりにくくて困る事が多いが
今回のテネシーの芝居では感情的になったり、大喧嘩になってかなりの長台詞を喚き散らす最中に今自分が何を言ったか、言っているのか混乱して「アワアワアワ…」となる場面で、プロンプターの出番になるのだが、役者は興奮していてどこまで自分が台詞を言ったか判断出来なくなっている状態が多く、アワアワの前に本来のセリフではない思わず出た怒りの出まかせ台詞を言っている場合もあるので、プロンプターはどこから言おうかと迷い、言っても相手の役者が理性を失っている場合は、なかなか噛み合わず遂にはどちらともなく、笑わなくては収まらない状況になり、突然の爆笑や大騒ぎに周りで稽古もどきを繰り返していた組は何事かと、そちらを見ると真ん中に「オーマイゴッド‼️」と頭を抱えているM先生が見えて、芝居組と見学組が大笑いしている図か、それが収まりセリフを忘れたご当人が放心状態で腰が抜けたように座り込み、周りは漸く笑い終わり⁉️
この事態をどうすれば良いのか全員分からず時間が止まった最悪の状態😨😰😱
漸くM先生が立ち直られポンポンと手を叩いて「この台詞の所からやり直し‼️」と
叫ばれてやっと正常な状況に戻り、やっとこさ稽古が再開。
その組その組で抱える問題点は違えど
まだ自力でそれらを修正する迄は力及ばず
M先生の孤軍奮闘、八面六臂の大活躍と
心身共の疲労は半端なかっただろうと
今頃になって気づいた私たちは、悪気はなくただ目の前の自分にとって、不可能と思えるようなハードルを超えるのに必死だっただけなのだが、時既に大いに遅し😓
ただM先生は大変な苦労を強いられておられた筈なのだが、どんな局面でも立ち直りが非常に早く、未熟な私達の演出をすることを差し引いても、テネシーの作品を作っていくそのプロセスにも喜びを感じたおられる事は全員肌で感じる事が出来たのは
不幸中の幸いであった。
そして何より「出来の悪い子ほど親は気になる」の法則に則り私達はM先生の事を
心の底から頼りにしていたのは紛れも無い事実であり、それ故にM先生も海よりも深く山よりも高い、親のような愛情を注ぎ続けて下さったこともまた明らかな事実であった。
演劇における最初の師匠、先生に恵まれた事は私達似たもの同士の少々規格外れの
ユニークな仲間達が、後に「花の20期生」として自他共に覚知され全員が各々の道を色々苦労はあったとはいえ、負けずに朗らかに前進して今も希望に燃えて第一線で活躍してしている事で明白に証明されていると思う時、私はM先生と仲間達に感謝
の念が汲めども尽きぬ魔法の泉
のように今でも感じられるのである、
紫 まいこ
