手術から半年が経つ
ここに当時のことを綴ってはいるけれど
正直なところ記憶にあまり残っていない
きっと
わたし自身のキャパオーバーの出来事だったのだ
毎日が大変だった
仕事はフツーだけれど
考えることや調べて決断することが多すぎたし
決断した後も見えない不安に駆られた
心がとても慌ただしくて
周りの風景を心に残す余裕さえなかった
告知の時から手術を終える頃までの間
わたしはとても孤独を感じていた
ひとりで告知を受け
ひとりで病院を決め
ひとりで手術を受ける
やるせなくて切なくて何度も泣いた
実際には
あたたかな手を差し伸べてくださるかたは何人もいらして
それはそれで嬉しかったし
その優しさに涙することもあったけれど
それでも
胸の底に棲みついた烈しい孤独感が消えることはなかった
でも
いつからだろう
ふと気づけば
あれほどわたしをきつく抱いて離さなかった孤独という存在が
少しずつ薄らいでいるようだった
恐らく
孤独が消えた訳ではない
ただ
わたしの捉え方が変わったのだと思う
いま思うのは
たくさんのみな様のあたたかさに何度も触れてゆくうちに
少しずつ
まるで薄皮を剥ぐように
孤独という衣から他の衣へと着替えることができたのかもしれないということ
極論になるが
ひとは基本的に孤独を纏う生き物だと思うのだ
しかし
わたしは
多くのかたの優しさに救われた
そして
自分自身にも救われたのかもしれない
お気に入りのマスク
