世界保健機関(WHO)が15日発表した2014年版「世界保健統計」によると、2012年の日本人の男女合わせた平均寿命は84歳で前年に続き世界最長となった。男女別で見ると、日本の女性の平均寿命は87歳で首位。男性は80歳で8位だった。男性の首位はアイスランドの81.2歳だった。世界の平均寿命は70歳で、最も短かったのはシエラレオネの46歳。<5/15ロイター>


※WHO 世界の平均寿命TOP10(2012年)


長寿は喜ばしいことだが、いかに老いるかが問題である。せっかく寿命が延びても、何年も寝たきりだったり、認知症になってしまったのでは困る。高齢の親が一人暮らしをしていて、炊事や掃除が大変だろうと、良かれと思って老人ホームに入れると、上げ膳据え膳で何もやることがないため、認知症が進んでしまうこともある。やはり、年をとっても何か人様のお役に立ちたいという気持ちを持つことが大切ではないか。

先日、ある講演会で講師が、我々聴衆に「老後に一番大切なのは、お金か、健康か、生きがいか」と問いかけた。3つとも大切には違いないのだが、一番はどれかといえば、間違いなく「生きがい」であろう。生きがいがあれば、お金は必要以上にはいらないのだ。明日やるべきことがあり、誰かから必要とされていれば、健康にも気をつけるだろう。

そもそも健康は、やりたいことをやるための手段なのだ。しかし高齢者のなかには、健康でいることがまるで人生の目的であるかのように、「健康のためには、あれも飲まなきゃ、これも食べなきゃ」という人もいるようである。

『法句経』に、「人もし生くること 百年(ももとせ)ならんとも おこたりにふけり はげみ少なければ かたき精進(はげみ)に ふるいたつものの 一日生くるにも およばざるなり」とある。人生の目的は、長く生きることではなく、良く生きることだ。

将来、若い人から「あんな風に年をとりたい」と思われるような、お年寄りになりたいものである。「ああはなりたくないよね」と言われないようにしなくては。もし認知症になってしまったとしても、いつもニコニコして、周りの人に感謝し、温和な認知症になりたい。宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の一節「欲はなく、決して怒らず、いつも静かに笑っている」のように。