Chapter1 #9
ある日のオンラインレッスン後の事。
Liamは
「まゆかさん!お互いの過去や秘密を話そう」
と言ってきた。
なんでまたそんな事を…と思ったが、彼が今までどんな人生を歩んで来たのか興味があった。
幼い頃、経済的に恵まれなかった事。
早くにお父様を亡くした事。
前の彼女の事。
既婚者との恋に落ちた事。
そして最後に離婚経験があると言った。
彼の口調は常に穏やかで優しく…茶目っ気を交えながらの話に引き込まれた。時々見せる寂しそうな目の奥に何かを感じる。
お父様の訃報を聞き、泣きながら走って家に戻った彼。
家庭環境の違いから彼女の家族の反対を受け一緒になれず、悔しい思いをした彼。
既婚女性と恋に落ち、仕事場に夫が乗り込んできた時の彼。
妻にうらぎられわずかな期間で結婚生活を終わらせた彼。
それらの話は思い描いていた彼の人物像と一致しなかった。こんなにも複雑な感情と共に生きてきたんだ。
諦めてきたことも多かっただろう。
心がつまづいた様な…かける言葉が出てこなかった。なぜ私に話したのだろうか。
人懐っこいのに何処かみんなに壁を作ってるのはこんな経験が原因だったんだ…。
私は
「だから…か…」
と言ったがその後が続かない。どんな顔をしていいのかも分からない。
「絶対誰にも言わないでね」
画面越しの彼は自分の口元に人差し指を当て、私を見て微笑んだ。
そんな私も過去に受けたいくつかの傷を彼に話した。
彼は真剣に聞いてくれた。
その日のレッスンの後は心が落ち着かなかった。
この頃からよくラインで連絡を取りお互いの予定やその日にあった出来事を把握するようになった。
レッスンをすっぽかされた日は1日何も手につかなかった。
彼のそんな適当な感じも私の心を揺らした。
