「玉音と玉砕」。

アーサー・ビナード氏をお迎えした文芸教育研究協議会の2016年全国大会。「日本語の向こうに広がる世界」という演題での講演の中で、印象的だった言葉が「玉砕」と「玉音」。

 

ますはお米の話から始まって、「石高(こくだか)」の話になり、石高は=賄える成人男性の数…人の数、あるいは米なのに石なのはなぜか…そこから「玉石(ぎょくせき)」の話になったのではなかったか。

戦地に送られたたくさんの命は、死んで初めて玉砕…「玉」の字がおくられるが、天皇は声を発するだけで「玉音」と尊ばれる…そんな話だったように記憶している。「玉(ギョク)」は「宝石」のこと。玉座、玉璽、玉杯…はたまた玉体、玉顔、そして玉音だ。

日本語なのに、そんな見方は全く頭になかったので、ものすごい衝撃を受けたのを覚えている。

 

私も戦争のことは、見聞きして勉強するしか知る術のない世代。

自国のことを他国出身の方に教えてもらう…申し訳ないような気持ちになりつつも、アーサー氏の活動のおかげで知ることのできることがたくさんある。http://www.joqr.co.jp/sagasu/2016/01/

 

 

今回の小学校教科書の改訂に伴い、5年生の国語の教科書(光村)に『たずねびと(朽木 祥)』という戦争文学作品が入った。

ちいちゃんのかげおくり・一つの花・石臼の歌・川とノリオなどなど、今までの掲載作品と大きく異なり、当時の様子を主に語る作品ではなく、現代の読者と同世代の視点人物が、戦争というものに初めてふれ、学習していく過程のストーリーとなっている。

作者の朽木氏は広島出身であり、幼少期から戦争学習に他県よりも多くふれて育ったのではないだろうか。そんな彼女が、現代の小学生に広く戦争というものを知ってもらうために書き下ろした作品なのではないだろうか。文芸作品としての価値はさておき、現代の小学生に広く戦争を知ってもらうための入口としては、すんなりとその世界観に入っていけるような作品だ。

 

今晩放送の『太陽の子』。

三浦春馬くんに想いを馳せ、例年よりも多くの若者が終戦記念日のこの戦争番組を見たのではないだろうか。

それも、彼がこの世で果たすと決めた使命の一つだったのかもしれない。

 

 

Q.戦争を繰り返さないために、自分にできることは何ですか?