「実に美しいなぁ~。」

マフラーで巻かれた首を挙げ、真太郎は月を見ていた。21時を廻っていた。耳を刺す冷たい澄んだ空気が我が心も浄めてくれた。月名の中、この爽快さは小舟で激流を一気に下るが如く清々しさであった。月明は人の垢を削ぎ、人に力を与えていた。

人生行路の幸、不幸などに動揺せず我が胸中を去る。喜怒哀楽、幸、不幸なんぞ大空を流れて行く浮雲の様なもの。大海原の静かな中、舟が進む。月に天風。なんと、自然は神秘なのだろう。

人生も各の如し。一度きりの人生。大海原の船旅を思い切り楽しもうではないか。