作者の瀬尾まいこさんの作品を初めて読んだのは
15年以上前、『幸福な食卓』でした。
何度も涙する場面があったこの作品をきっかけに、瀬尾まいこさんの作品は気になりだして、良く読むようになりました。
有名なものとしては、2019年の本屋大賞受賞作『そして、バトンは渡された』がありますね。
ちなみに、『幸福な食卓』『そして、バトンは渡された』共に、映画化されています
割と作品に共通しているところが
作品全体が温かく、爽やかな読後感
ということかな、と思います。
また
いわゆる「一般的な家庭環境」ではないけれどそれを重く受け止めていない性格の主人公像が多いかな?
喜びや悲しみや驚きなどいろいろな感情で
読んでいて、ウルッとする場面も多いと感じます。
大好きな作家さんの1人です。
この本は、以前にブロ友さんが紹介されていたことから知り、気になっていた本です。
『わたしたちの世代は』 瀬尾まいこ 著
※内容説明抜粋※
小学三年生になる頃、今までにない感染症が流行し二人の少女、冴と心晴は不自由を余儀なくされる。母子家庭の冴は中学生になってイジメに遭い、心晴は休校明けに登校するきっかけを失って以来、引きこもりになってしまう。それでも周囲の人々の助けもあり、やがて就職の季節を迎えた―。
作中に「コロナ」という単語は出てきませんが
今までの当たり前を、当たり前ではないものにしてしまったコロナ禍。
うちの子達は、上の子が大学2〜4年、下の子が高校2〜大学1年がその時期で、この貴重な青春時代をコロナ禍に奪われることの大きさは、大人のそれとは比較にならないと思っていました。
この世代の犠牲が大きかったというのは、近くで我が子達を見て実感していましたが
それより小さい子達にとっても、人格形成や体力をつける上で大事な時期。また違った影響があったと思います。
この作品の主人公はコロナ禍当時小学3年生の2人の少女。
その頃とその十数年後(2034年位の設定かな)までを描いています。
読んでみて、私にはすごく良かったです
淡々とそれぞれの立場から描かれており
何度も感動したり涙したりする場面がありました。
2人を中心とした過去と未来が行き来しての文章構成となるので、こういう構成の本は紙がやっぱり読みやすいですね
途中まで読んでは戻り、と見返しながら読みたくなるので。
この構成、私は好きです!
そして裏切らない読後感の良さ
コロナによっていろいろなことが変わりました。
大きく変わったことの一つは、コミュニケーションのあり方かなと思います。
例えば
リモートワークが主流の会社が出てきたり
リモートで授業が受けられることで、不登校でも選択肢が増えたりと
リアルでなくてもできることはリモートの方が
合理的だったり楽だったりという気づきもありました。
リモートワークとのハイブリッドは、メリットがあるから今でも続けている会社も多いですよね
また、リモートだからこそ知り合えるコミュニティが特別なことでなくなったり
失ったものはとてつもなく大きいけれど、得たものもあったとは思います。
でも、私は
リアルでの人との関わりや繋がりは、やっぱりあった方がいいな、大切だなと感じているんですよね。
今までになかった制限があった世界から
アフターコロナとなった今、踏み出して進んでいるわけですが
未来への希望のようなものを感じることができる作品だと思いました。
どの世代にも何かしら感じるものがあるんじゃないかな、と思います