小さい頃からとにかく自信がなかった。

容姿は平均くらいだったかもしれないけど、激しい人見知りとコミュニケーション能力の低さ。

勉強も真ん中くらい、運動能力は学年で最下位を競うほどだった。

私はピアノ習ってたけど、ピアノ習ってない子がピアノの伴奏者に選ばれた。

私は水泳習ってたけど、私が一年かけてできるようになったこと、友達は夏休みの期間でできるようになった。

字も汚いし、不器用で工作や裁縫、料理も苦手だった。


一つも才能や取り柄なんか持ち合わせてなくて、両親も含め誰かから認められたことがなかった。

いや、親だから色々気を遣って、私が書く絵や物語を褒めてくれたけど側から見たらただの落書きだしストーリーもめちゃくちゃだった。

そんな空っぽな人間にできることは他の人よりも何倍も何十倍も何百倍も、努力することだけ。


努力は嫌いじゃなかった。
たとえそれで結果が出なくても、努力さえしていれば自分のことをもっと嫌いになることはなかったから。


私はいつだって誰からでも好かれていたいタイプの人間だった。

がっかりされて見放されるのが怖かった。

好かれまではしなくてもいい、だけど嫌われるのだけは我慢できなかった。

人の役に立てなければ、私なんかに存在価値がない。また居場所がなくなってしまう。

だから自分にできることはどんなことだって率先してやった。
みんなが嫌がるトイレ掃除も手が荒れる皿洗いも、仮面の笑顔を貼り付けてもう必死だった。

情けないと思うけれど、人から「ありがとう」の言葉をもらうたびに安心する自分がいた。

ありがとうって言われると、劣等感で真っ黒な胸の奥がキラキラした。

でも持ち前の鈍臭さで迷惑かけまくってるし、馴染めていない自分が腹立たしい。




みんなから、、誰か1人からでもよかった。

とにかく誰かから愛されてみたかった。
ちょっとでいいから愛してほしかった。

私のこと、見て。私じゃだめなの?
私頑張ってるんだよ。


浅ましく卑しくみっともない。
愛に飢えた獣。
どうして私って普通じゃないのかな。