実はどこかに穴が空いていたり、どんなに固く結びつけた運命の糸だって、どこかが緩んでいたりすることを知っている。
多分それは不幸なことで、知らないままでいた方が幸せなことだ。
運命の赤い糸は小指の先から伸びているというけれど。
結婚という形で人と人の心を繋ぎ止めるのは薬指だ。
考えてみればおかしな話だし、皮肉なものだ。
私と彼の間には、確かな運命があるのかも、あったのかもしれない。
だけど、運命が心に、愛に繋がっているかどうかなんて、誰が保証してくれるのだろう。
きっと運命の赤い糸なんて、人と人を結びつけるものでしかない。
心までは繋ぎ止めてはくれない。
恋するだけなら、一人でもできる。
二人で重ね合わなければ、決してそれは愛に育つことがない。
どんなに深く、愛していると叫んだところで、その愛は恋が見せる蜃気楼か、そうでなければ自分の中で育て続けた虚像に対する、自分に対する愛でしかない…
なんでこんな気持ちになったのかというと、彼に対しての自分の気持ちがわからなくなったから。
彼は頻繁に「大好き」とか「愛してる」とか言ってくれるけど、私は愛してるって感情がイマイチわからない。
彼のことは大好き。だけどそれが恋愛感情での大好きかと言われると、わからなくなってきた。
『嘘はとびきりの愛なんだよ』ってアイ(推しの子)の言葉を頭に浮かべながら、「私も大好きだよ」って言う。
別れた方がいいのかなって考えるけど、一度別れを切り出したときの彼の涙を思い出すとできなくて…
彼は優しい。
それに、こんな私でも好きだと毎回言ってくれる人……。
なんで、私は素直に彼が大好きって言えないんだろう。
趣味も合うし、小さい頃の話しやアニメの話している時はすごく楽しいし、何よりそのままの私を好きだと言ってくれる。
彼ならきっと私を大切にしてくれる。
ずっとずっと好きでいてくれるって分かっているのに……。