映画の感想少しずつ進めます


マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙
原題:The Iron Lady
2011年/イギリス
★★★★☆
海外でのポスターはデザインが違っていて
(日本版は、ユニオンジャックの前で手を挙げて笑顔です。公式サイト→★)
こっち(本国)のほうが“鉄の女”感が出てるよね。
少しだけ開いた口元と(笑ってるようで笑ってない)
意思の強そうな瞳と、聡明そうな額と、隙のない装い。
こんな上司いたらつらいだろーな

本作で主演のメリル・ストリープは
アカデミー賞史上最多の17回目となるノミネート、そして2度目の主演女優賞を受賞しました。オスカーは実に3度目。

※実際のサッチャーさん(左)と、メリル(右)。サッチャーさんは現在86歳です。
伝記もので、且つの政治家の話だけれど、世界史も政治がわからなくても、なんら問題なく楽しめます。
あくまでひとりの女性の人生ドラマです。
(監督はマンマ・ミーア!のフィリダ・ロイドだし、かたくないのよ。)
世界初の女性首相となった女性の半生が
1時間40分という時間にコンパクトにまとまってました。
マーガレット・サッチャーは
1925年10月13日イギリス・リンカンシャー州で生まれ、食料雑貨店の家庭で育ちました。
父親は市長もしていた地元の名士であったものの、この食料品店の出身ということで、娘の彼女は悔しい思いをすることもあったようです。
でもそこは「鉄の女」、
つよい。
そんなことでくじけていたら首相にはなれませぬ。
家庭を犠牲にしてでも野心的にのぼりつめます。
首相になってからの振る舞いや言動は、頑な態度が目立ったり
圧迫としか言えない態度で押さえつけたりするシーンも目立ちました。
以前何かの記事で読んだことがあるのだけれど、日々大きな判断を強いられる仕事というのは、とんでもない心理的負荷がかかっているらしいです。
(確か企業の管理職とか、社長のストレスだとかの話でした)
サッチャーの場合、
それが財政政策としての貧困に喘ぐ労働者に対する課税だったり、フォークランド諸島を占領したアルゼンチンに対する武力制圧…というより戦争だったりする訳で。
74日間続いたこの戦争でアルゼンチン側は649人、英国側では255人が犠牲になっています。
亡くなった英軍の兵士の家族にお見舞いの手紙をしたためるシーンもあるのですが、なんというか…常人の感受性だったら耐えられないことだと思う。
もちろん苦悩もあっただろうけれど。彼女には息子もいるのに。
現役首相のときの話ばかりになってしまった
この映画は、年老いた現在サッチャーが、過去を振り返るという構成になっています。
若い頃のこの役者さん、ほんもののサッチャーの顔だちに似てる~

物語の序盤、彼女の夫となるデニスのプロポースシーンで早々に泣いた私(そこかい)。
デニスは事業家で、賢くてユーモアに溢れた男性。
公務の旅行にも同行したり、公私ともにサッチャーをずっとサポートしたそうです。
デニスが穏やかで愛情深くて、彼が絡むと、もう…涙が



実際国民にも愛されていた「首相の夫」だったようです。
サッチャーの鉄の女っぷりを際立たせるかのように、デニスはとても温かくやさしい男性に描かれていました。
全盛期が過ぎての人生の後半は、見ていて結構切ないことが多くて

彼女は数年前から認知症で、夫・デニスが亡くなったことも忘れてしまうほど、その症状は進行していて、もうひとりでは生活できなくなっています。
娘・息子との関係や、まわりの人の態度になんとも言えない気持ちになるよ。
老いたら誰にでもあることかも知れないけれど、あれだけ強く賢い人にも、例外なく老いは訪れるのね。。
今も健在なサッチャーのそうした姿を描くことはイギリスで批判の対象にもなった模様。
ですが、亡き夫との会話シーン(実際はサッチャーにしかデニスは見えていない)こそ、この作品の肝であるように感じました。
ちなみに。
この映画、デートで行くにはあまりおすすめしないかも。
伝記映画でも歴史映画でもなく、なんてったって「鉄の女」の半生のドラマ。
サッチャーの女としての決断や、苦悩に自分を重ねることが出来る女性はそういう見方ができるけれど
人としても、リーダーとしても、男の人は共感しづらいというか
きっついなーって感じるかも。
