先日、母と弟と共に

 

 

杉並区は荻窪、『西郊』に泊まってきた。

 

 

インターネットで調べていただければ早いけど

 

とても趣のある 旅館だった。

 

 

京都にいたとき旅館でバイトをしたことがあったが

 

どこも 「風(ふう)」だった。

 

歴史はあるのかもしれないけど改装して、エレベーターもあり厨房も近代的だったりして

 

旅館風ホテルといっていいかもしれないと、『西郊』に行って思った。

 

 

 

西郊は 築80年ほどなのかな

 

ロビーに黒電話があったりするけど

 

レトロってそういうことじゃない

 

旅館らしさってそういうことじゃないよなあ

 

 

上手く言えないなあ

 

 

風呂は黴臭く

 

おばあちゃんちの改装前の風呂より汚かった。

 

歩くたび床がミシミシいってて 話し声は廊下まで筒抜けで

 

便所も流し台も 古かった。

 

 

古いからいいというわけではない

 

なんといえばいいのか

 

 

 

人間らしい 時代に作られたものが好きだ

 

 

昔のレコード いやいや

 

2000年前後に出たロックバンドのCDでもいい

 

聴いて ああ 懐かしいでもなく

 

温かみを感じる

 

 

古い喫茶店の

 

床、椅子の擦れた後

 

大阪の

 

吸い殻だらけの汚い路地

 

 

そこに人間らしさを感じる

 

 

西郊には、黒電話が置いてあったり昔の自販機がおいてあったりしたけど

 

それはレトロ風でしかなくて

 

どうでもよかった

 

建物や、管理人さんや

 

朝食の塩鮭や

 

石が敷き詰められた床とか

 

埃とか がたついた扉とか

 

そんなものが とてもよかった。

 

 

一人で もしくは誰かと

 

また行きたいなと思った。

 

 

人間が生きた重みを感じたいんだ

 

 

抗菌的な レトロ風は好きじゃない

 

 

汚れて 拭いて

 

汚れて 拭いて

 

それでも染みついた汚れが美しい。

 

 

 

 

とか言って 僕は 掃除を怠って

 

所持物はもはや 汚い のでそんなこと語れる人間じゃないんですが

 

 

なんだかうまくまとまらなかった

 

 

『西郊』は素晴らしい旅館だった。

 

吉田拓郎の『伽草子』を思い出すよ。