私が大学の3年になったと年の9月3日、父方の祖父が亡くなった。
夜、その知らせを聞いた母は「あんたも用意し!」と言った。

私は母の考えが分かった気がした。

とっさに、「うんっ」と返答し、用意し父と2人で田舎に帰った。

田舎に着き、先ず祖母を追い出した弟の家に寄った。

弟、弟の嫁はそよそよしく私が来ていることに対し、何もいわなかった。

そして弟も一緒に近くの父の実家(祖父母と本妻+子供3人が住んでいる)へ向かった。

実家の庭には、父の妹がいた。その妹は私と同じ県内に住んでいたら、幼少の頃は尋ねたことも多々あって知っていた。ただ、冷たい人だなって子供ながらに感じていた人だった。

そして、実家の中へ。

数人女性(恐らく親族)と私と父と父の弟、そして祖母となくなった祖父がいた。

皆が話をしていて私は何も話もしないし、ただじっとしていた。

しばらくすると部屋の周りの廊下で男性が獲物を探すような不審な動きをしていた。

だからといって私はその人を見ることをしなかった。

そしたら、私の後ろから私に話しかけられた。


「あんた、誰?」

私は振り向き、その人を見た。おばさんと私より少し年上の女性2人だった。

最初は私が聞かれていることも、何か言っていることも分からなかった。

そしてもう一度「あんた誰?」と言われ。。。

状況を把握しているので、

「私は、父の子です」など言えない。これは父が答える方がいいのではと思ったので、父の膝をポンポンと叩き、小さな声で「お父さん」と言った。

その途端。



「出て行ってよ」と私より年上の女性が大声で叫んだ。

本妻と子供だとわかった。

後に父が行っていたが、不審な動きをしていたのは父の長男だった。

そしておばさんは「ひどいじゃないの、こんな人連れてきて」

「こういうところに連れてくるなんて非常識にも程がある」

「この敷地に連れてこないで」

等々、、、父に言い、父も「関係ないやろーが」など言い、いい合いになった。

そのとき何故か、弟も父の見方になり本妻と子供とで言い合いになった。

 私は一切父も見ず、勿論本妻も見ず、1点を見ていた。

部屋の隅においていたタンスの1部をジッとみて、真顔になった。

私が泣いたり、怒っている顔したり、悲しんでいる顔したり、申し訳ないような顔をしてはいけないと思った。

ただ、真顔で1点を見る、ずっとそうやって本妻、特に子供の罵声を私は黙って聞いていた。


父は我慢できなくなった。口では父が勝てるはずも無く、父は「もうええわ、おい帰るぞ」と私に言って家をでようとした。

私は少し礼をし、玄関まで行った。

私は一切泣きたい気持ちになったわけでも、我慢していたわけでもない。

玄関出て戸を閉めた途端、

体の底から涙が出てきた。

未だかつて経験のしたことのない体の反応。

泣きたくなかったし、泣いたら父に叱られると思った。

でも止めたくても止めれなかった。体に別の人間がいるかと思うくらい涙が溢れた。

そして確信できた。自分の存在は人を苦しめてきたこと。
勿論、そう分かっていたつもり。自分が逆の立場ならそう思ってもおかしくないとずっと思っていた。
だからこそ、本妻、子供がいつか私を殺しに来たとしても私は抵抗しないと思っていた。

父と一緒に車に乗り、通夜に出ることなく、帰った。
帰る途中、私は帰ったら死ぬべきだと思っていた。
だけど、あるところで自殺をやめた

父は初めて私に言った「ごめんな」
父から言われたことは無い言葉。

私は生きるべきだと思った。
今、私が死を選んだら、母は絶対に許さない。父にも、本妻、子供にも。
母は怒り狂うはずだと思った。

だから、私はこの事は内緒にしておこうと思った。

母の子供である異父兄に父の実家の近くまで行ったら「数珠」を持ってきてくれることになっていたので、断りを入れるため私は兄に電話し「いらなくなってもう大丈夫だから」とだけ言った。

そして家に到着した。父はそのまま会社へ、母は仕事に行っていて家に居なかったので、母が帰ってくるまでに泣きたいだけ泣き切ってしまおうと部屋で泣いた。

夕方、母と父は外食で帰りが遅かった。

母が帰宅し、階段から母が言った。

「よく、耐えたな」と言った。

異父兄が私の様子に異変を感じたらしく、母に電話した。それを知り父から諸事情を聞いた。

母も私もこういうことになるとなんとなく分かっての行動だった。

この事件がきっかけで、父の弟は本妻、子供に財産がいかないように、長男である父は全ての財産を拒否することを提案し、数年後離婚をさせた。