第3回は本格ブレイク期。ここからヒット曲連発です!

1993~
6th Single:負けないで
もう説明する必要も無いくらいの国民的ソングですね。1月27日発売。

ここで一つ言っておきたいのが、この曲は別に24時間テレビのマラソンの為に制作された楽曲じゃないんですよ!ってこと。
フジテレビ系ドラマ『白鳥麗子でございます!』のEDでした。松雪泰子さんが主役で視聴率が平均16%超、最終回は20%超の大ヒットドラマということでタイアップに恵まれたわけです。

初登場2位で売上も19.2万枚。今までと比べ物にならないスタートダッシュ。
ちなみに、同週1位は前作【ガラガラヘビがやってくる】の大ヒットで味を占めたとんねるずがリリースした子供向けソング第2弾【がじゃいも】で25.4万枚でした。93年になるとシングルランキングが毎週激戦続きで今じゃ考えられない売上が連発します。
その後、2週目3週目と20万枚前後の売上をキープしながらもその週の初登場作品に上位を奪われ、3位-2位と推移しながら、4週目、さらに週間売上20万枚をキープして1位を奪取します。
その後も売上を伸ばし、6週目に111万枚突破でミリオンヒット。最終的に164.5万枚の大ヒットとなりました。この年の年間6位ですね。この時期になると世間はバブル崩壊と言われていましたが、音楽業界は逆にバブル期と言える盛況だったのでこれだけ売れても年間5位に入れない激戦だったんですよね。

作曲はお馴染み織田哲郎。編曲はシングルでは初の葉山たけし。倉木麻衣の復習の時に言及しましたが、主に大黒摩季の全盛期の楽曲の編曲を担当していた方ですね。
編曲が当たったのか、今までよりもバンドサウンド的でありながら、ロックではなくストレートなポップで今までになく力強く明るい楽曲になりましたよね。それが応援歌として捉えられる一因になったのかなと思います。もちろん、一番は印象に残る詩が要因なんですけどね。

この曲の大ヒットはその後のZARDの活動予定にも確実に影響を及ぼしました。
まず、この後に発売予定だったシングルやアルバムの日程が変更されたようです。私の推測ですが、新たにタイアップが決まったりしたんじゃないかなぁ~と思いますね。で、シングルの発売時期等の変更を余儀なくされたんじゃないかと。一気に、ZARDの商業的価値が上がったようです。

で、ご存知の方も多いと思われますが、この曲でミュージックステーションに出演したのが、結果的に最後のテレビ歌唱となりました。当時、見てたの覚えてます。表情が明らかに緊張してるけど、CD音源と遜色無く歌ってるなぁ~と。まさか、これが最後になるなんて思いもしませんでしたが。

世間的には応援歌なんでしょうが、個人的にはこれを聞くと未だに泣きそうになってしまいます。「負けないで」と歌っている人が結果的に病気に負けてしまったも同然で、もうこの世にいないんですから…



7th Single:君がいない
4月21日発売。前作の大ヒットを受けての作品となり、人気を決定づける為にも重要な位置付けだったわけですが、結果的に2か月連続発売となった次のシングルがまたもや大ヒットとなった為に前作と次作の陰に隠れてしまった悲運楽曲。

同じビーイング所属WANDSの【愛を語るより口づけをかわそう】の2週目に負けて、初登場2位となるも売上は17.2万枚と十分合格ラインの域。そもそも1993年はビーイングブーム真っ只中で92年後半から毎月、最盛期は毎週のようにビーイングアーティストの新譜が発売されていました。中でも3月最終週~7月最終週まで1位がビーイング所属アーティストという記録まで作っていた次第。なので、同じ所属同士での潰しあいが必然的に起こってしまっていたんですね。WANDSのこの曲は4週連続1位で、その前にB'zの【愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない】も4週連続1位ですからねぇ。

そんな自らの楽曲のみならず、同じ所属アーティスト楽曲の陰にも隠れてしまった今作。それでも最終的に80万枚を売り上げての大ヒット。

今作は今までシングルのc/wやアルバム楽曲でZARDを支えた栗林誠一郎作曲。というか、栗林さんのアルバムに収録されていた楽曲に坂井泉水が新たに詩をつけたカバーなんです。
アコギの音色が印象的な今作はカントリーチックな懐かしさを感じさせるポップで明るい楽曲でありながら、タイトルで分かるように失恋ソングという楽曲です。
バックコーラスの主張が強い(笑)分かる人にはすぐ分かる。

このシングルはc/wも是非聞いてほしい。
【私だけ見つめて】という楽曲でこちらは初期作風を彷彿とさせる哀愁ロック系。個人的にはこっちの方が好きなくらい格好良い。こちらもバックコーラスの主張が強い。あと、坂井泉水の歌唱力が確実に成長しているのも分かる。



8th Single:揺れる想い
5月19日発売。ポカリスウェットのCMソングとして既に話題だったので、4月発売のシングルがこっちだと思った人もいたとかいないとか…。

ということで、【負けないで】に次ぐ代表曲である今作はある意味、ZARDのイメージを決定づけた楽曲とも言えると思います。絶対的な清涼感とでも言いましょうか。
何よりこのCMが多くの人の印象に残ってるんですよねぇ。この時期は一色紗英が出てたんですよね。その映像と【揺れる想い】のBGMがピタリとハマって多くの人の印象に残ったようです。
今作は作曲が織田哲郎で編曲が明石昌夫ということで、デビューからのお馴染みコンビ。ですが、ZARDのイメージが固まってきたこともあり、明石さんの編曲も初期の頃とは明らかに変えてきましたよね。メロディに引っ張られてなのか、とても透明感があり煌びやかな楽曲になりました。

ポカリのCMと言えば、この前年は織田哲郎さん自身の歌である【いつまでも変わらぬ愛を】が起用されていましたね。で、94年はDEENの【瞳そらさないで】、95年はFIELD OF VIEWの【突然】、96年には再びZARDの【心を開いて】が起用されたのですが、これらの楽曲の作曲は全て織田さんなんですよね。つまり、5年連続で織田楽曲だったってわけなんです。加えて、93年の【揺れる想い】から96年まで4年連続で作詞は坂井泉水というオマケつき。こういうケースってあまり無い事例ですね。

今作で遂に初登場1位を達成。初動24.7万枚。さらに、次週も20万を売り上げ2週連続1位。この後も数作1位獲得作品はありますが、複数週1位獲得したのは今作のみ!累計売上約140万枚で年間でも9位にランクイン。



4th Album:揺れる想い

同名シングルから2か月後の7月10日発売。今作、予定ではもう少し早くに発売するはずだったものの予想以上の大ブレイクもあって数度の延期を経ての発売となったようです。
まぁ、言うまでも無くZARDブランドの完成型に到達した作品ですね。

01.揺れる想い
02.Season
03.君がいない (B-version)
04.In My Arms Tonight

05.あなたを好きだけど
06.負けないで
07.Listen to me
08.You and me(and...)
09.I want you
10.二人の夏


シングル4曲収録。3曲目の【君がいない】はシングル版より半音低いバージョンでコーラスも坂井自身のものになっている。なんかシングル版より元気がなくなった感じ(笑)
さすがに、シングル曲4曲収録で全10曲ということでc/w曲は入っていませんね。ということで、新曲は6曲。

5曲目はもはや純アイドルポップって感じ。
面白いのは7曲目。かなりアップテンポな曲なんですが、バックコーラスの存在が強くてもはや一人の歌じゃない(笑)常連の川島だりあや大黒摩季、さらにB.B.QUEENSでもお馴染みの近藤房之助さん等が参加しています。
個人的にオススメは9曲目かな。かなり清純&可愛いポップス路線に舵をきってきた中でアルバム曲では唯一の格好良い楽曲。

絶頂期、当然の初登場1位。初動57万枚。2週連続1位。3週目で1位を逃すもミリオン突破で113万枚到達。さらに、4週目に返り咲いて1位になると、5週目、6週目と3週連続1位。最終的に約234万枚を売り上げ、
1993年度年間1位を獲得。その年を代表するアルバムとなりました。
ZARDのオリジナルアルバムとしても最大の売上です。



ということで、この時期は内容の濃い作品が並んだということで今回はここらでおしまい。
次回は93年残りの作品から94年の作品をご紹介。
次回に続く!