真夜中の活字中毒
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いろいろな人生

素樹文生さんのブログ記事を読んでいたら、急に読みたくなった本がある。
自分が生きる意味、生きるということ、そんな途方もなく難しい事を考える時、なんとなく自分が沈んでいってしまいそうな時、私はこの本を取り出して読む。

それは、野沢尚著「恋人よ」という本。
初めて読んだとき、夜中に泣きながら読んだため、次の日とんでもなく目が腫れた・・。
多彩なジャンルを書き、有名な作品は数あれど、野沢尚という人の威力をこれでもかと見せつけられる作品だと思った。亡くなられてしまった事が残念でならない。

結婚式を控えた2人の男女、愛永と航平。夫を愛しきれない愛永と、妻の粧子から子供はあなたの子ではないかもしれないと告げられた航平。そんな思いを胸にしまったまま結婚をするが、互いの結婚生活が上手くいっているかを確かめるため再会を約束する2人。やがて2人は再会し、私書箱を通じて手紙のやりとりを始める。
一方、航平の妻粧子に子供が産まれ、その本当の父親は愛永の夫遼太郎だという事が分かる・・。
それぞれが葛藤しながらも、新しい命の誕生を喜ぶ4人。そこから、物語は思わぬ方向にどんどん進む事になる。新しい命を囲む4人の「家族」、そして「夫婦」、「恋人」という様々な側面で4人は悩み、深く傷つき、他人を傷つけ、もがきながらも運命を受け入れようとする。

しかし、やっと幸せに向かって歩きはじめようとする時、愛永に異変が起こる。愛永のひたむきで純粋な強い意志は周囲の人々を動かしていく。

狂おしいほどに人を想う、という壮絶とも言える人の姿に深く心を揺さぶられる物語。

特に、愛永が航平に送る最後の手紙には完全にやられてしまった。愛永という人の人間としての美しさが滲み出ている素敵な手紙だった。


本を読んで泣く、という事は全く頭になかった事だったので、我ながら驚いたけれど、沈んでいる時に読み返すとまた泣ける。泣きのツボは人それぞれだけれど、こういう泣ける本がある、というのは悪くない。

久々にこの本を読み返し、素樹文生さんのブログを読み、生きるっていうのは本当に力のいる事だなぁと思ってみたりする。
つらい事もいつか実って糧になると思えたら、愛永のように強くなれるのかもしれない。





著者: 野沢 尚
タイトル: 恋人よ〈上〉


著者: 野沢 尚
タイトル: 恋人よ〈下〉


【野沢尚の著書】

わからなくなってきました

読むたび笑える、元気の出る本。思わず思い出し笑いをしてニヤニヤしてしまう本。
「分からなくなってきました」著)宮沢章夫(遊園地再生事業団主宰
まるで抜け道を見つけるような、鋭くもゆるい視点で、笑いのツボ、言葉のツボを強力に刺激する脱力エッセイが満載の1冊。 数ある著書の中、最初に読んでグッときた作品です。

多彩なエッセイ、コラムの中でも、特にグッときてしまったのが、タイトルにもなっている「わからなくなってきました」。
点差が縮まり、逆転の可能性も出てきた9回裏、2死満塁の場面で登場する絶好調の3番打者。そんな緊張の場面でアナウンサーは叫ぶ。「わからなくなってきました」
スポーツ中継でよく聞くこの言葉、この「わからなくなってきました」を様々な場面にあてはめてみたらどうなるか。 レストランへ行ったら、タクシーに乗ったら、いくつかの場面を想定してもどうもなかなかしっくりこない「わからなくなってきました」。 しかし、ついに発見。「わからなくなってきました」がぴたりとくる文学を・・。
ある文学者の作品にぴたりときた「わからなくなってきました」の奇妙なマッチングに、笑わずにはいられません。 ふと電車でそのフレーズを思い出すたびにおかしくなってしまうほど、はまった人はとことんはまる脱力マジック。

時々、「わからなくなってきました」を使いたくてしょうがない私は、想像をしてみる。
例えば電話。
「わたくし、**会社の**と申します。**さんいらっしゃいますか?」
「**は外出のようですが、わからなくなってきました」
例えばコンビニ。
「こちら温めますか?」
「うーん。わからなくなってきました」
わからないのは、そんな事を言われた相手である・・。

でも、宮沢章夫氏の発見した文学と見事にマッチングする「わからなくなってきました」の威力には到底かなわないので、笑いたい時にこっそり出してこの本を読んでいる。

そして、たまにアナウンサーのように堂々と叫びたい。「わからなくなってきました」と。




著者: 宮沢 章夫
タイトル: わからなくなってきました

奥田英朗「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」

奥田英朗著「イン・ザ・プール」、「空中ブランコ」がそれぞれ映画化・ドラマ化決定!

「イン・ザ・プール」は、今年初夏公開、「空中ブランコ」は今年春放送決定。

言うこともやる事もめちゃくちゃな精神科医「伊良部一郎」。セクシーだけどたくましい美人ナース「マユミ」。たまーにしか来ない患者の悩みを聞くかと思えば、有無を言わせずビタミン注射。
訳の分からない言動に、患者は振り回されるように見えるが、大抵の患者はこう思う。「この先生よりは自分はマシかもな」そして、いつの間にか伊良部に押されるようにドタバタに巻き込まれながら、まんまと伊良部マジックにはまっていく。
読み出すと止まらない病にかかったように一気に読める作品。

地下鉄に乗りながら、思わずニヤニヤしそうになってあせりましたが、ちょっとしたイライラもまぁいいか・・。と思わせてくれ、読み終わると不思議と元気が出ます。(伊良部トンデモマジックにまんまとひっかかっていた自分。。)

さて、映画「イン・ザ・プール」の伊良部一郎役は松尾スズキ。
一方ドラマ「空中ブランコ」では、阿部寛。
(阿部寛の伊良部は眉毛が太いらしい・・。)

原作の伊良部一郎は、病院の跡取り息子、体格は立派すぎるほど立派、つまりデップリ体型。金持ち息子でマザコン。注射大好き(人が打たれているのを見てはゾクゾクしている)、なんでもやりたがり。
「イン・ザ・プール」の松尾スズキはまり役!と思っていたので、ドラマの阿部寛、と聞いたときには「格好よすぎるんでは?」と思ったが、仲間由紀恵と組んだ「トリック」でのイメージもあるから以外といいのか?と思いながらも、今のところは、はらたいら風に言って「松尾スズキのインパクトに1000点!」
もしくは、西田敏幸か、または阿部サダヲとか。

原作を読んだ人それぞれのイメージがあるから難しいところだけど、映画・ドラマ独特の「イン・ザ・プール」、「空中ブランコ」が楽しめそうで今からとても楽しみです。

「イン・ザ・プール」には、田辺誠一・オダギリジョー・市川美和子が登場。「空中ブランコ」には釈由美子、堺雅人。一般の世界だったら、これだけの美男美女が集まれば、話題になるだろうな。

伊良部一郎と一緒に何かやらかしてみたいと思うのはきっと私だけではないはず。そして、1枚壁を破って視点を変えるとこんなにも楽になるんだなぁ~と妙に納得。
どんどん読みたいけど、読み終わるのがもったいない。と葛藤しながら読んだ本でした。




著者: 奥田 英朗
タイトル: イン・ザ・プール


著者: 奥田 英朗
タイトル: 空中ブランコ


著者: 奥田 英朗, 矢口 順一
タイトル: 神経科医Dr.イラブ (1)

通勤の読書タイム

毎日1時間半かけて通勤しながら、電車の中ではもっぱら読書タイムを楽しんでいます。なぜ電車の中ってあんなに集中して読めるのか・・。
朝1時間早く起きて読書は難しくても、通勤でならたっぷり読めるのだから、少々遠いのも悪くはないかなとラッシュの中で自分を励ます今日この頃(笑)高給取りではないので、毎回新刊本を買うのは辛いが読みたい、そんなジレンマと闘う日々です。

【文庫OFF】
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