私の勤める介護病棟では、患者さんは老人ばかり。

しかも殆どの人に痴呆があるので、

その会話は結構トンチンカンになってしまう。

その会話に疲れてしまう時もあるが、

爆笑してしまう事も多い。

病棟で「眠りのコゴロウ」と影で呼ばれる患者さんがいる。

名前はコゴロウではないが、

苗字が“毛利”だし、

いつも車椅子で眠っている、或いは

眠っているかのように動かない事から、

「名探偵コナン」の登場人物からもじってつけられたあだ名だ。

(@ ̄ρ ̄@)zzzz

痴呆もあって、全ての動作がスローモー。

面倒くさいのか、自分で車椅子をなかなか漕がず、

30分経っても「5センチも進んでないよー。」って感じだけど、

笑顔が可愛く、私達従業員の数少ないお気に入りの一人。


そんな「眠りのコゴロウ」さんに動いてもらおうと思ったら、

ジャンケンが一番だ。

負けたら3m自分で動く、勝ったら逆に押してもらう、

というルールなのだが、

この時ばかりは「コゴロウ」さん、目を輝かせ、真剣!!

負けたら普段からは信じられない程のスピードで動くので

始めてみた人は決まって驚く。


今日、フィギアスケートの高橋君似のT君が

「コゴロウ」さんとジャンケンして、廊下を誘導していた時のこと。

何故かその時、逆方向の部屋のヒロコさん

(痴呆があるが、介護病棟ではしっかりした方)

何故か後ろからついて来る。

「私がこの人を連れて行ってあげる」というので

お願いしてみると、

何故かコゴロウさんの車椅子を追い越して行ってしまった。

「あれ、車椅子押してくれるんじゃ・・・?」

とT君と顔を見合わせていると、

5m先で車椅子を止めたヒロコさんが振り向いて、

「こっちに来てぇ、早くぅ~ん♡」

「なにしてるのぉ、早くして~ん♡」(o^-')b

その声に引きずられる様に動き出した「コゴロウ」さん。

語尾を上げて色仕掛けで誘うヒロコさんにも驚いたが、

その誘いに乗った「コゴロウ」さんのも驚いた。


そのまま進んで角を曲がっていった二人を

「ヒロコさんに任せよう。もしかして恋が芽生えるのかも。」


と暖かく(爆笑で)見送った。


そして20分ほど経った後、

ヒロコさんが一人でデイルームに戻ってきた。

「あれ、“コゴロウ”さんは?」

と聞くと、

「何のこと、私知らないよ。」

と完全にさっきの事を忘れているではないか。



う~ん、やっぱり恋には発展しそうもない。

皆でコゴロウさん探索に出かけたのは言うまでもない。