同居している舅や姑がもし寝付いてしまったら、

やっぱ私がオムツの世話もしなくちゃならないの!?

うぅ~~~ん、私に出来るかなぁ・・・?

 

将来を考えると自己中心的な私は、正直戦々恐々としていた。

 

 

 

 

そんな私が、ぬぁんと

病院勤務の「介護ヘルパーさん」となったのだ。

 

全く介護の経験もなく、今までの仕事(ショッピングセンターのサービスセンターのパート)と180度違う仕事。

か弱い私が、まさかこの仕事につくことになろうとは

……今まで夢にも思っていなかった。

 

 

「介護」という仕事。それは汚れ仕事、力仕事である、

と言う事は覚悟していた。

 

でも実際に仕事についてみるとその内容は想像以上。

私が配属された介護病棟には介護認定を受けた老人が殆どだけど、

そのうちの何人かの姿に衝撃を受けた。 

 

こんな事を言ってはなんだが、正直言って、コワイ。

 

手足が硬縮したその異様な姿。

 人間の身体が、こんなにも細く、硬く変形してしまうなんて!!

目は開けているけれど、言葉も発せず、

ベッドに横たわるだけ(治療やリハビリ、入浴はキチンと行われているが)の彼らに、明確な意識はあるんだろうか。

 “私だったら、こんな姿になって生きていたくはない。”

そんな風に心の中で顔をしかめていた。

でも、仕事についてもう直ぐ二ヶ月、

「彼らは通常の伝達方法が不自由になっただけで、

人間としての意識は勿論保っている。」

と言う事がようやく分かってきた。

そして今日、NHKの福祉関係の番組を観た。

親子でも意思伝達がなかなか難しかった脳性まひの息子が

新しく開発された機器を使って、

「お母さん、産んでくれてありがとう。」

と伝えた事を紹介していた。

一生不自由な身体、そして不自由な生活しかできない若者。

それでも生きていく事を肯定している。

生まれてきた事を感謝している。

なんと言っていいのだろう、胸に響いてきた。

この若者は、身体は不自由だけど、

心は私なんかよりずっと自由なのかも……