こんにちは、2階のおばちゃんです。

 

今回もRA(Royal Academy of Arts)で開かれたエキシビジョンの話をすんね。

 

YBAsの誕生から勢いに乗ったイギリスのアートは、一気にギャラリーが増えて

猫も杓子もコンテンポラリーアートを展示し、毎日どこかで新しいエキシビジョンが開かれているって感じで活気づいてたし、アート自体がもっと身近な存在に

成長したと思う。

そんな無数にあるイギリスのギャラリーは5つのタイプが存在するって

言われてんねん。

・      商業ギャラリー (Commercial gallery)

・      アーティストが運営してるギャラリー(Artist-led gallery)

・      大学のギャラリー(University gallery)

・      公的資金で運営されてるギャラリー(Public funded gallery)

・      デジタルとインターネットアートに特化したオンライン上のギャラリー*

   (New media gallery)

   *実店舗のギャラリーと併設してるとこもあるで

 

特にイーストエンドのハックニーエリアは、ほんまにギャラリーが増えたわ。

東ロンドンっていうと、今はおしゃれで流行に敏感でクールな感じの印象がある

けど、90年代までは貧困層の労働者階級の人らが生活してる地域で怖いイメージが

強かってん。

昼間歩いてても一気に町の雰囲気がやばい感じに変わるとこもあったしね。

ハックニーらへんに行くときは昼間の短時間なら1人でもOKやったけど

夕方までかかりそうな時は1人で歩かへんようにしてたわ。

なんたっておばちゃん「外国人」やったわけやし。

 

イーストエンドはギャラリーだけでなく、アーティストのスタジオも多いで。

たいがいのアーティストはイーストエンドにスタジオ持ってるって感じやし

アトランティスっていうでっかい画材屋さんの掲示板に貼ってある

「スタジオ貸します」とかの多数の貼り紙も、ほとんどイーストエンドに

集中してたのを覚えてるわ。

そら、ある程度有名なアーティストはもっといいとこのスタジオを借りてる

やろうけど。

 

イーストエンドはちょっと物騒やから北ロンドンのどっか忘れたけどスタジオを

見に行ったことあんねん。

夕方4時ごろにスタジオを見学して話してたら帰るときはもう暗かってんけど

玄関から外に出たときになんか異様な雰囲気と殺気を感じてん。

止まってる数台の白いミニバンに目やったら、そのうちの1台に複数の男が乗っててこっちを睨んでんのに気づいてん。

それと同時にそのミニバンの車体に付いてるドクロマークの絵が目に入って

きてんけど、そのドクロマーク、「コンバット18」やのがわかってん。

まるででかいクマにバッタリ遭遇してしもたかのように「落ち着け、落ち着け、

走って逃げたらあかん」って自分に言い聞かせて、胸張って速足で気づいてない

ふりしてその場から去ったんやけど、ほんまに殺されるんちゃうやろかって思う

くらい殺気を感じたわ。

日本やとこういう場合、下向いて速足で去っていくんやろうけど、それやと海外では「自分は弱い人間やからやっつけやすいっす」って教えてるようなもんやから

返って危ないで。

相手にスキを与えんよう平気な振りして堂々と素早く去らないとやられるって、

おばちゃんは経験上そう思うわ。

 

暗かったしハッキリ見えたわけじゃないんやけど、普通に車の中の人が

こっちを見ているって感じじゃなくてほんまに殺気を感じんねん。

日常で誰かに強い憎しみの感情を向けられることって滅多にないやろうけど

向けられてみ。ほんまに日本三大怨霊の菅原道真(すがわらのみちざね)、

平将門(たいらのまさかど)、崇徳天皇(すとくてんのう)が車の中から一斉に

こっち見てるくらいの恐怖を感じるし。

「コンバット18」はイギリスで誕生したネオナチグループの1つで移民やユダヤ人、白人以外の有色人種などに対し攻撃したり殺人を犯したり、暴力によって

白人至上主義の社会を目指してはんねん。

大変やわ。

 

話それたけどね、とにかくコンテンポラリーアートのギャラリーが増えましたわってことやねん。

そんな増えたギャラリーを展示しましょかって言ったかは知らんけど

2002年にRAで「The Galleries Show」(ザ ギャラリーズ ショー)という

エキシビションが開催されてん。

ギャラリーがギャラリーを展示するエキシビジョンやねん。

「ギャラリーがギャラリーを展示する」 これ、最初聞いたときは

意味が分からんかったわ。

 

ロンドンにあるコンテンポラリーアートの商業ギャラリー20社が出展した

RAでのエキシビジョンで、小さなギャラリーから中規模のギャラリーまで

多岐にわたり、それぞれ推しの作品を展示しはってん。

RA内をいくつものパーティションで区切った展示用スペースが各ギャラリーに

提供され、それぞれ独自にキュレーションして小さなエキシビジョンを展開して

はんねん。

各ギャラリーが出展した作品の大半は、推しのアーティストの新作やったと思うわ。

RA側はこの「The Galleries Show」の趣旨を以下のようにコメントしてはんで。

「商業ギャラリーの創造的な活動をダイナミックに洞察し、ロンドンを国際的な

コンテンポラリーアートの中心地として位置づける上で商業ギャラリーが果たす

重要な役割を示すことが目的です。また、コンテンポラリーアートの世界で

今何が起きているのかをひとつ屋根の下で体験できるまたとない機会を提供することでもあります。」

 

因みにキュレーションって何をすることかというと、大まかに言うたら

以下のようなもんやわ。

・エキシビジョンの企画

・アーティストと作品のリサーチと選考

・作品の管理(作品の運送や保険も含むで)

・エキシビジョンにちなんだワークショップとかアーティストトークなど教育プログラムの企画

・カタログや宣伝用資料、助成金(Grant グラント)の申請書などの作成

・メディアへの宣伝

・予算編成と管理

要はエキシビジョンを企画して運営することで、キュレーションしはる人を

キュレーターって言うねん。

アーティストと作品と観客の橋渡しをし、エキシビジョンが有意義で楽しいものに

なるよう頑張りまっせっていう業務やわ。

 

おばちゃんがこのエキシビジョンを見た感想としては、最初はいろんなギャラリーの展示があって楽しかってんけど、そのうち見るのが邪魔くさなってしもて

半分くらいはほとんど頭ん中に残らへんかったな…って感じやったわ。

人が多くて見にくかったのもあるけど、迷路みたいな空間とギャラリーごとに

展示方法もキュレーションも違うからバラバラすぎてしんどくなってん。

商業ギャラリーの集まりやから作品を売るのがメインな感じするし

「アートフェアやん」って思うかもしれへんけど、商業ギャラリーに付き物の

プライスリストが壁に貼られてたわけでもないし赤い丸シールが作品の

キャプションに貼られてたわけでもなかったから、外から見たら普通に

エキシビジョンやったと思うわ。

(今はプライスリストも丸シールも使わないとこがほとんどやけどね)

 

「The Galleries Show」は、2002年9月14日~10月12日までの約1か月だけの

エキシビジョンやってん。

なんでそんな短い期間なんかというと、その前の大規模エキシビジョンと

その次の大規模エキシビジョンの間の空白期間を埋める「おまけ」的なもの

やったからやねん。

もちろん、イギリスのコンテンポラリーアート界における商業ギャラリーの

飛躍的な活躍(要はアート作品の売上向上)を称えて「あ~りがっとさ~ん」(古い?)ってことで開催したっていうのも理由に入ってるらしいけどね。

因みにRAが各ギャラリーに用意した展示用スペースはレンタルで、それぞれRA側にレンタル料を払ってエキシビジョンに出展しはってん。

「販売手数料を徴収することも考えたが、最終的には1,000ポンドから

5,000ポンドの準レンタル契約を結ぶことにした」とRA側は言ってるんやけど、

出展するのを断ったギャラリーの中には「実際はレンタル料がRAが言ってる額より遥かに高かったから諦めた」って言われてしもてたわ。

 

RA側が出展を持ちかけたギャラリーは全部で40社で、参加を決めた33社のうち

レンタル料を払って出展できたのは20社、カタログに掲載するだけで終わったのは

残りの13社という結果やってんて。

このエキシビジョン、YBAs作品に付きもんの「作品に対する物議」ではなくて

このエキシビジョン自体の構造に対し物議を醸してん・・・ 

と言っても毎度おなじみのYBAsの作品に対するものに比べたらめっちゃおとなしいもんやわ。

「RAは芸術を専門とする公的機関なんやから純粋に芸術的表現や文化的豊かさに

触れ合う機会を提供するもんちゃうんか?商業的な圧力や利害関係から解放された

芸術施設でいなあかんのに、商業的な存在になってるんちゃうか?」っていうこと

やねん。

でも、RAは公的資金の恩恵を受けてないとのことやから、経済面を考えたら

そりゃ~商業的にならざる得ないんちゃう?って思うけどね。

 

「The Galleries Show」の何がすごいかって言うと、各ギャラリーが展示した

作品が印象的ですごいというよりも、RAが企画したこのエキシビジョンそのものがRAにしかできへんやろうなと思わせるすごさやねん。

1つのギャラリーが出した企画のお誘いに、その当時ロンドンで結構注目されていたギャラリーがズラリと並んで参加するなんて普通は無理やわ。

展示やったら自分とこのギャラリーでやった方がええし、ギャラリーが他の

競合となるギャラリーに「自分とこのギャラリーであんたんとこのギャラリーを

紹介するから作品持ってきて~」なんてありえんわ。

アートに興味のある人や関係してる人らから見たら、評判良いギャラリーばかりで「よく集められたなぁ」と感心するくらいそうそうたる顔触れやねん。

(その当時一番ホットやったWhite Cubeは断らはったけどね)

これはRAにしかできないことで、このギャラリーがイギリスでどれだけ力を

持っているかをまざまざと見せつけられた感じのエキシビジョンやったなと思うわ。

それと、キュレーションという面から見ても斬新やったのと同時に考えさせられる

部分もあったと思うで。

なんたってこのエキシビジョンは、作品の選考や企画、カタログに載せる

内容(要はギャラリーの紹介文)、作品の管理までせっせせっせと動いたのは

ギャラリー側で、RAは場所の提供とポスター等の作成、メディアへの宣伝、

邪魔くさいカタログは各ギャラリーが作成した紹介文を一冊にまとめてハイOK

くらいの仕事量やってんやろなって、こういう顔(¬_¬)で見てしまうわ。

 

当時の「The Galleries Show」の様子が分かる画像ないか調べてんけど

ほんまにほとんど無くて、情報も少ないねん。

当時出展されたアーティストでわかってる分だけいくつか紹介して

今回はおしまいにすんね。

 

Lisa Yuskavage  Exhibitions | Lisa Yuskavage

 

Elizabeth Peyton  Elizabeth Peyton - Installation Views | Sadie Coles HQ

 

Howard Hodgkin  Royal Academy of Arts – 2002 - Howard Hodgkin (howard-hodgkin.com)

 

Thomas Schütte 

Courtesy of Thomas Schütte / .:: Website Thomas Schütte ::. (thomas-schuette.de)

 

Peter Doig  Peter Doig | Grande Riviere (2001-2002) | Artsy

 

AK Dolven  2002 Sandefjord, Norway - between the morning and the handbag — A K Dolven

 

Johan Grimonprez  https://youtu.be/fZM6poyhHz4?si=QCvR_UkiOAjCLzZ5

 

Lukas Duwenhögger 

Courtesy of Lukas Duwenhögger / Innuendo-elaynak(lukasduwenhogger.com)

 

Cai Guo-Qiang  30941765.jpg (650×650) (canalblog.com)