じじのどこかを診てもらいにいつもお世話になっている動物病院へ行ったある時のことだった。

診察中、若先生が「この子若年性の白内障だと思います」と言う。

え?????

何を言われているかわからず、一瞬時が止まった。

「このような症状はありませんでしたか?」と色々聞かれる。

言われてみれば思い当たる節があるにはあった。

「あまり見えていないと思います」。

「ちょっと待ってください。このコ3歳になったばかりだし、ひとつしかない目だし・・・」。

あまりにも突然の宣告に、私は全くついていけなかった。

「もしでしたら眼科専門病院を紹介することもできます・・・」と言われ、

ただただ呆然としながら自宅へ戻った。

そもそも私はなぜじじを病院へ連れて行ったのだろう。

皮膚がかゆそうだった?

それともワクチン接種???

じじの目に異常があるなんて夢にも思っていなかった私は、ひどく混乱した。

若年性白内障って何???

じじには片目しかないのに。

3歳になったばかりなのに。

なんで???なんでじじが???

 

すぐにこの出来事を母に話した。

母と相談し、一度動物眼科専門病院へじじを連れて行ってみようということになった。

とそこへ、いつもの動物病院の院長から「じじを一度病院に連れて来てくれませんか?

私も直接診たいので」と連絡が入った。

「そうだよね」と少し気を取り直し、じじを連れ再び動物病院へ向かったけれど・・・

院長の口から出てきた言葉は「う~ん、そうだね、若年性白内障だね・・・」だった。

 

私たちは何としてでもじじに残された目を死守しなければならなくて、

だからできることはなんでもやろうと決めていた。

病院から眼科へ予約してもらい、検査結果等必要書類を用意してもらい、

予約当日を待った。

 

動物眼科専門病院の院長は、日本で3本の指に入ると言われているその道の権威で、

多くの患者(飼い主)が全国から院長を頼りに通って来ていると聞かされていた。

1時間ちょっとで行ける私なんて近い方みたいだったけれど、本当にその通りっぽかった。

初診の日は、仕事を休めない母の代わりに叔母が付き添ってくれた。

叔母が「ここに置いてある医療機器すごいっ!!!」と耳打ちした。

当時叔母は人間の眼科勤務だったので、眼科に対する知識があった。

でも、なんてったって緊張していましたので。

叔母の話はあまり入ってこなかった。

問診のため若先生に呼ばれた。

その後しばらく待っていると、いよいよ院長に呼ばれた。

権威・全国区・・・

どんな人なのかと緊張していると、拍子抜けしてしまいそうなぐらい優しそうな人だった。

「じじさん片目はどうしちゃったの???」。

「ペットショップのミスとしか聞いてないので詳しいことはわからないんです」。

取られてしまったじじの目について、もう少し詳しくお姉さんに聞いておく必要があったのかと不安に駆られたが、それ以上は追及されなかった。

様々な機器でじじの目の状態を診てもらった結果、ここでも「若年性白内障」と診断された。

そして「今じじさんが見えている世界はこんな感じ」とじじの視界を見せられ愕然とした。

「これぐらいしか見えていなかったの???」。

じじの見えてる世界があまりにもぼんやりしすぎていて、なのに獣医師に指摘されるまで

気が付いてあげれなかった自分が悔しくて情けなくて泣いてしまった。

院長は「まだ3歳だし、大切な残りの目だし、手術することを前向きに考えられては

どうでしょうか?犬の白内障の手術はもう珍しいことではなくて、うちでは年間かなりの数を

こなしています」と言った。

初対面だったけれど私は「信頼できる何か」を院長に感じたのか、その場で手術の

予約を入れてもらった。