2016年12月14日。

 

私と母は父の家の前にいた。

物々しい雰囲気の中、どうやら父はすでに亡くなっているらしいという情報が伝わってきた。

「そうですか…」と、父の自宅内へ視線を投げた瞬間、私は自分で自分が固まっていくのが

わかった。

 

「え?」。

 

それ以上言葉が出てこなかった。

へなへなと全身の力が抜け、倒れてしまいそうだった。

なぜならそれは…

自分の目の前にある光景が、俗に言われる「ゴミ屋敷」というものだったから。

男のひとり暮らしだったから、超ピカピカなどとは思っていなかった。

でも、仮にも自分の親が「ゴミ屋敷」で生活していたなんて、ほんの一瞬でさえ想像したこと

などなかった。

「ショック」なんてものではなくて、頭が真っ白とかいうレベルでもなくて、もう何もかもを

通り越してしまった、初めて体感する「恐怖」だった。

 

 

今冷静にこの時を振り返ってみると。

確かにあの偉そうな捜査班長の態度には腹立たしさを覚えた。

でも、あんなゴミ屋敷の中での捜査は半端なく大変だったと思う。

足の踏み場などどこを探してもなく、一歩一歩細心の注意を払わないと滑ってしまう。

自分を支えるのに必死の中、威張りデカ先頭に数人の男性が父を2階から運んでくれた。

情けなくて申し訳なくて、立場がなかった。

威張りデカは「なんなんだよコレ!!!」という思いを隠せない、ただ正直な人だっただけ

かもしれない。

すべてが終わり警察署を出る時、関わってくださった警察の人たちに心から挨拶した。

その時、威張りデカがチカラ強く頷いてくれたのを私は確認した。

「ヤな感じ」と思っていた刑事さん、ありがとう。

みなさんありがとう。

お世話になりました。