ゴミ屋敷から始まり、借金返済や別荘、その他にも思い出せないほどいろいろあって、

どうにかなってしまいそうな日々を過ごしていた。

そんなある日のこと。

「今日保険会社から電話がかかってきて、パパの生命保険が下りるって言われた」と

母から聞かされた。

「え???生命保険?????」

「会社経由で入っていた保険が活きてたみたい。

生年月日が間違って記入されていたからなかなか本人確認ができなかった、って言ってた。

でもまぁ、いくらなんでも自分の生年月日は間違えないと思うから、担当の人の入力ミスか

何かだったんじゃない?とにかく…よかった…この先どうしようかと思ってた…」。

この時の安堵は、言葉では言い表すことができないものがある。

これでなんとか今までのように生きていける…

ずっとずっと張りつめてきた思いが涙と一緒に流れていくようだった。

 

 

ひどく険しい道は最終段階を迎え、あとは父の家の問題だけだった。

放火等、万が一あの家で何かが起こってしまった場合の責任は私たちにある。

そう思うと、「空き家」としてずっと放置し続けることが賢明でないことはわかっていた。

ただ父に振り回され続けた私たち。

精魂尽き果て、しばらく何をする気にもなれなかった。

それでもどうにか重い腰をあげ、時々父の家へ出向くようになっていった。

思いがけずありがたい縁に恵まれ、家の問題は解決へと向かった。

 

 

「見えない父」との闘いは2年以上続いた。

「同じことをもう一度やれ」と言われても絶対にできない、本当に本当にハードな日々だった。

でも時間は確実に流れていて、今母と私は平穏な日々の中にいる。

「ママ、私たち本当によく乗り越えてきたね…」。

今夜あたり、自分たちに小さく乾杯してみるのもいいかもしれないな。