無事に葬儀を終え、とりあえず表向きはひと段落。
次にどうにかしなくてはいけないのがお店のことだった。
母も私もお店のことは全くわからず途方に暮れかかっていたところ、「アイツの店のことは
俺が一番知ってるから」と、母にとっては息子のような、私にとっては弟のような、弟の大親友がお店に関する何もかもを引き受けてくれた。
飲食店経営の彼には、自分のお店のこともあったと思うし、なによりせっかくのお正月休み。
それなのに、お正月返上で家族のように動いてくれ、そんな彼の厚意に私たちも甘えさせて
もらった。
彼のおかげで、お店の件は予想以上の速さで解決へと向かった。
スーパーマン、ありがとう!!!
母は日に日に痩せていった。
もともとぽっちゃりな人だったからわかりやすかった。
精神もどんどん不安定になっていくようだった。
「あの子のところへ行きたい」と泣き出したり、「あなたに私の気持ちはわからない」と私に
突っかかってきたり。
日常を彩る「色」や「音」はどこかへ消え、ただただ無機質な時間だけが流れていった。
忘れられない出来事がある。
ある日のこと。
母がお風呂から上がった時、私の姿が見えなかったことがあったらしい。
私が自分の部屋からリビングへ行くと、そこには全身ビチョビチョのまま突っ立ち、
「あなたまでいなくなっちゃったのかと思った…」と、わんわん子供のように泣きじゃくっている
母の姿があった。
ギョッとした。
母はとうとう本当におかしくなってしまったのかもしれない…
そんな母とどう向き合えばいいのか。
毎日毎日、とにかく必死に悩んだ。
でも、どんなに悩んでも確かな解決方法などあるわけがなく、何もかもが手探り状態の
日々だった。