私の住んでいるフラットは築45年ほどで、オーバー70’s世代の大家さん曰く現在では商業エリア公共交通機関直近のロケーションだが新築当時は新興住宅地で何もないところだったらしい。
住んでいる人も私のように賃貸住まいの他に新築当時から自宅として住んでいる人達もかなりいる。長年の自宅組は大家さんと同世代以上なのでだいたい70代から80代くらいの年齢に達している。
私の両親と同じくらいだ。
この世代になると、人によっては外出に補助のヘルパーさんや車椅子が必要な場合がある。かと思えば、毎日颯爽とジョギングやジムに出かけていく人達も結構いる。
やはり健康、とくに足腰は大切だなぁと思う。
私のフラットに住む長老のMrs.Cは、その点、素晴らしいと思う。
齢およそ80(推定)、子どもたちは独立し、現在ご主人とブルドッグとの二人と一匹家族。
いつも大きな声で元気な恰幅の良いご婦人である。
ご主人は華奢で静かな感じ。
ブルドッグはご主人よりCさんによく懐いているのは、Cさんに似ているせいかも知れない。
Cさんはご主人とブルドッグと一緒に500mほど離れた所にある公園に朝の散歩に行くのが日課である。
ある土曜の朝、私が洗濯屋さんから預け物を引き取り、フラット建物のロビーでエレベーターを待っていると、オートロックで鍵のかかった建物入り口ガラスドアを強く叩く音がした。
セキュリティのおじさんとそのドアの方を振り向くと、それはCさんであった。しかも、ご主人を背負い、ブルドッグを片手に抱えていた。
びっくりしてドアを開けるや否や、Cさんががなり声で捲し立て始めた。
『全くねー、困ったのよー!うちの人が公園で足がつって歩けなくなったから、仕方なく背負ったんだけどねー、それを見て今度はマイケル(ブルドッグの名前)が歩かなくなっちゃったの!マイケルはうちの人にジェラシー感じちゃったみたいなのよー!歩けって言ってもすぐ止まるの、マイケルが‼︎仕方がないからマイケルを手で持ってきたのよー‼︎』
この間、ご主人はCさんに背負われながら、読経のようにごめんごめんと繰り返していた。
世界各国、女性の方が平均寿命が長い傾向だが、Cさんにその理由を見た気がした。
