三菱一号館美術館で開催されているルドン展へ。

 

ルドンは植物に目があるような

奇妙な生き物を描いたモノクロ時代の作品が有名ですが

私がいちばんはじめに出会ったのは

幼い頃、母にもらったルドンのアートポスター

“黒い花瓶のアネモネ”だったので

ずっと色彩豊かなお花のイメージでした。

 

今回の企画展は

ルドンの描いた花や植物に焦点をあてたもので

初期のモノクロ時代から晩年の色彩豊かな作品まで

植物が描かれたものが展示してありました。

 

 

見どころは

フランス・ブルゴーニュ地方にあるドムシー男爵の

お城の大食堂に飾られていた植物を題材にした壁画で

 

三菱一号館美術館に常設展示されている《グラン・ブーケ》と

オルセー美術館が所蔵している《15点の壁画》が一堂に会すること。

 

 

ですが

《グラン・ブーケ》は常設の場所にあり

《15点の壁画》と別々の会場に展示され

食堂の再現をちゃんと味わうことはできませんでした。

 

《グラン・ブーケ》はパステル画なので保存管理優先なのか

飾られている場所にはコピーされたものが展示されていたり

食堂全体のイメージが分かるように配置図があったり

食堂が縮小再現されたフォトスポットもありましたが

残念感は残ります。

 

 

↑フォトスポット

 

 

《グラン・ブーケ》以外の《15点の壁画》は

《グラン・ブーケ》のパステル画とは違い

デトランプ(膠テンペラ)という手法で描かれていました。

日本画を思わせるような落ち着いた色使いで素敵でした。

 

《 黄色い花咲く枝 》

1900-1901年 木炭、油彩、デトランプ/カンヴァス オルセー美術館

 

 

《 花の装飾パネル( 明るい背景)》

1900-1901年 木炭、油彩、デトランプ/カンヴァス  オルセー美術館

 

《15点の壁画》の展示スペースは

実際壁画が飾られていたお城のように薄暗い空間を再現され

窓や扉などの配置が分かる説明図がありました。

ダイニングテーブルなど家具はどのように置かれていたんだろう…と

 

しばらく妄想…。

 

壁画はどれもとても大きく高い位置にあり、

鑑賞というより壁紙のような役割だったのかもしれません。

 

色合いもモチーフも落ち着くものを使って仕上げているのも納得できます。

 

その食堂には

牧歌的なタペストリーがかけてあり

大きな暖炉や窓があって…

そして

色鮮やかな《グラン・ブーケ》は

一際輝いていたのではないでしょうか…

 

もしかしたらアクセントウォールのような役割も

あったのかもしれません。

 

 

《15点の壁画》の全体的に使われているクリーム色とミモザの黄色。

《グラン・ブーケ》の半分を占める青い花瓶。

 

黄色と青色の対比が美しいです。

アクセント的に使われている赤も印象的でした。

植物画の中にも精神的な世界観を感じます。

 

 

《グラン・ブーケ》は暗室に1枚のみで飾られていました。

 

 

《グラン・ブーケ(大きな花束)》

 1901年 パステル/カンヴァス  三菱一号館美術館蔵

 

 

100年以上も前のパステル画とは思えないほど

色鮮やかでびっくりしました。

 

精神世界の光と影を大切にしてきたルドン。

花のモチーフさえも幻想的です。

 

バックライトに照らされて

その幻想的な世界が今にもこちらの世界に溢れてきそうでした。

 

やっぱりルドンは色彩豊かな作品が好き♡

貴重な装飾壁画を一堂に見れて幸せでした。

 

 

 

 

また

三菱一号館美術館は東京駅近くにありながら

中庭があり緑溢れる場所。

 

以前カフェに訪れてから

また来てみたい場所だったので

再訪できたことも幸せでした。

 

 

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【ルドン 秘密の花園】

会期/2018年2月8日(木)~5月20日(日)

開館時間/10:00~18:00(祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は21:00まで)

※入館は閉館の30分前まで 

休館日/月曜日

会場/三菱一号館美術館

〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-6-2 

Tel 03-5777-8600

観覧料/一般1,700円、大高生1000円、中小生500円他 

三菱一号館美術館公式HPhttp://mimt.jp/