公私共々ほぼ完璧な自粛生活中ということもあり、最近三冊立て続けに地図読み&ナビゲーションの書籍を読んだ。

 

一冊目はオリエンテーリング界のレジェンド村越氏による「山岳読図ナヴィゲーション大全」(山と渓谷社)、二冊目は北上至上主義者 コンパスの神 横山氏による「登山者のための地図とコンパスの使い方-あなたの方法は間違っている」(成山堂)-、三冊目は地形図マイスター平塚氏による「地図の読み方」(小学館)の三冊。

 

村越氏、平塚氏の著作である写真左側二冊は既に持っていたので、実践はともかくとして、基本的な読図とコンパスの使い方はおおよそ分かっているつもりでいた。

 

しかしである、今回の極右から極左?までの関係書籍を読んでみて読むたびにその都度眼からウロコ。

 

この三冊から導き出される最もハードな主義の相違は、我々は果たして地図を回すべきか(トラックもしくはヘディングアップ: 整置主義)、回さざるべきか(ノースアップ: 北上主義)?なのだが、そこは臨機応変に使い分けるだけだ。

 

まず村越氏の著作、この三冊の中では最も体系的に登山におけるナヴィゲーションを網羅的に紹介している。オリエンテーリング界のレジェンドらしく、どちらかというと整置(地図は回す)を強調。現在地把握、ルート維持に力点が置かれており、地形図情報と現地の情報、そしてコンパスワークに基づく論理的な情報処理の重要性に気付かされる。一枚目のウロコが落ちる。

 

二番目に横山氏の著作、頑固なまでの北上主義へのこだわり、しかしながらコンパスの持つ能力と限界を正確に伝えている。さらに「位置の線」の獲得の重要性にも触れられている。また、歩き始める際に目的地をセットすることの意味にも。考えてみれば当たり前であるが、コンパスを目的地にセットすれば常に目的地を指示してくれると思い込んでいた自分のアホさ加減に改めて愕然とした(いつからそう思い込んでいたのか今となっては謎。コンパスは指定した目的地に対する方角を常に示し続けるGPSユニットではない)。コンパスの進行線は最初にセットした地点における目的地の方角を示すだけなのだ、しかしその地点を離れてしまえば(最初の地点と目的地を結ぶ直線上にいなければ)、それはすでに目的地を指してはいない!ここでウロコ2枚目落下。

 

そして三番目に平塚氏の著作、流石に20年来のベストセラーだけのことはある内容、まず本文中に図を配置すると極めてわかりにくくなってしまう地形図を別冊にしたところが本当に地図読みを伝えたかったという意図が理解できる構成は秀逸。老眼にも優しい。要所(それが問題でチェックポイントの設定から地図読みは始まっている)で、コンパスワークを含め何をどうやって確認すべきかが例示と共にしっかり記載されている。丁寧に本文と地図を読めば得るところは大きい。一方、この僅かな地形図の膨らみや窪みへの執着、ほぼフェティシズムともいうべきこだわりには凄みすら感じる。そんな等高線の窪みなんて気にしたことすらなかったよ。ここで三枚目のウロコが落ちた。

 

先人おそるべし。