ドラマ「舟を編む」を見ました。「舟」とは、このドラマに出てくる架空の辞書大渡海(だいとかい)のことで、辞書を作る人の話です。大きな辞書でも、一冊になっているものは中型辞書と呼ばれます。つまり、広辞苑なども全て中型辞書です。


原作では普通に紙の辞書を作る話ですが、ドラマでは時代が進んでいるので中型辞書の需要について厳しい予測がされ、もう少しで刊行中止になりかけますが、WEB版と紙版の二つを同時発売で決着します。最終回ではコロナ流行の時期となり、社会の急激な変化に応じてコロナ関連語彙を載せようと校了をギリギリまで遅らせ、最後まで慌ただしく準備します。


恋愛の語釈に「男女」を入れるかどうか、専門家が書いた項目をどうやって要約するか、いかにめくりやすい紙を作るかなど、数え切れない難題を乗り越えて出版にこぎつけました。


そして出版しても、改訂版に向けてまた新たな戦いが始まります。今後紙の辞書は続くのか、困難はたくさんありそうですが、ひとつの言葉に出逢う時、探す過程で他の出逢いが生まれる紙の辞書には捨てがたい魅力があると思います。