覚悟はしていた。




そのために我々はこの世に存在しているのだから。




しかし、




このような結果になろうとは…










新世紀が幕を開け十年が経った九の月



暗雲がオリンポスの空を支配し、悪魔の雄叫びのそれを表すかのように荒れ狂う風と、




屈強なスパルタ人も耐え難いほどの、幾万もの矢のように雨は降り注いだ。





戦いは始まった。もう後戻りはできない。昨日までの平穏な日々を取り戻すため、我々はその渦中に身を投じた…。






「現実の戦い」がこれほどのものになるとは、いったい誰が想像できただろうか。




思考が働く隙間などなく、ただただ無心で激しい風と突き刺さる雨に歯を食い縛り耐え続けた。






この闇の向こうにある光を信じて。







…どれだけの時間が経ったのか、感覚という感覚がまるで無く、脇腹にパックリと開いた傷口は他人のものかのようにさえ思えた。




そして、いつの間にか、頭上には星空が広がっていた。




まるで今まで起こっていたことが夢であったかのように。




しばらく呆然と立ち尽くしていると、ゆっくりと「痛み」という情報が脳に伝達されていき、




一つ目の怪物のようだった狭い視界も徐々にひらけていった。



周りを見渡すと、小さな山が点々と築かれていた。







同志たちの骸の山だ。




モーゼが切り開いた海のように道の端々に横たわる彼らは、感情を失った目をこちらに向けていた。




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皮を引き剥がされ、杭と岩壁の隙間で息絶えた者







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脳天を地面に叩きつけられた格好のまま絶命した者







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仲間を守ろうとしたが、健闘虚しく共倒れとなり息を引きとった者







地獄のような風景の中、脇腹の激痛を庇いつつゆっくりと帰路を辿っていると、




横たわる一人の男と目があった。







…弟の…アポだ。







横に数歩移動してみると、アポはさっきまで私が立っていた方向にある虚空を




まばたきを一度もすることなく、ただ眺めているようだった。




この現実に慣れてしまったのか、深い悲しみとは裏腹に何故か涙は出てこなかった。







アポを担いで歩くほどの体力が残っていない私は、




せめて手厚く葬ってやろうと近くにあった桶にアポの亡骸を納め埋めてやった。




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必ずこの場所に戻り墓をつくると約束し、私は誰もいない家へと向かった…。













というわけで皆さん無事だったでしょうか?




骨むき出しの傘は危険なので、そのへんに捨てず(飛んでいってしまったものは…しょうがない)




持ち帰り、各市町村・自治体の指示に従ってきちんと捨てましょう。