
著者: 乙一
タイトル: 暗いところで待ち合わせ
乙一の小説をはじめて読んだ。久し振りの一気に読み通した。
ストーリーは、2人の視点から交互に展開される。2人に共通するのは、人と接することが苦手な点であろうか。
アキヒロは、印刷会社に勤めるが、職場の同僚と上手く付き合うことが出来ずに、次第に孤立し、次第にいじめの対象となり、先輩に殺意を抱くようになる。ミチルは、目が見えなくなり、唯一の肉親であった父も死に、時々訪ねる親友以外とは接触もなく、寂しく一人ぐらいをしていた。
この2人が、駅での殺人事件以降、奇妙な同居生活を始めることになる。
人と交わることが苦手な今の若者の一面での姿を書きつつも、オドリー・へップバーの「暗くなるまで待って」を思いおこすような、暗闇の中での2人の駆け引きが展開され、物語は進む。
駅での情景が、目に浮かぶようだ。電車が通ることや、踏み切りの遮断機の音。乙一の筆力はなみなみならぬものを感じる。
ミチルとアキヒロが、お互いに気づかれないようにしながら、次第に相手のことを理解していこうとすることにより、彼ら自身がずっと持っていた”社会”への不信感が薄れていく。もちろん、彼ら自身のそうした性格が一気に解決されたわけではない。
後半は、思いもよらぬ展開。
”乙一”ただならぬ作家である。