せっかく眠っていてくれたのに。ごめんね、起こしてごめんね。


カウンセリングで思いつくままに話をした。あの日布団で息を殺して泣いていた自分は、長らく眠っていたのだなと思う。出来ればこのまま眠らせてあげたかった。でも、それだと私が駄目になってしまうらしい。起こすとあの子は案の定泣いていた。ごめんね、ごめんね、悲しいのに、つらいのに、ごめんね…。私とあの子は同じ個体なのに、まるであの子は私の我が子のように思えた。家族を起こさないように、嗚咽を必死でこらえる姿が可哀想で涙が出てくる。どんなに抱きしめてあげたくても、もうあの子には触れてあげられないのが虚しい。


ーーー今さら起こしてごめんね。もっと早く、起こしてあげなきゃいけなかったね。悲しいね、怖いね、つらいね。小さい頃は死ぬことが怖くて大泣きしてママを困らせたあなたが、死ぬのを望むなんて。周りの大人は、何をしていたんだろうね。そんなに難しいことは、求めていないんだよね。抱きしめて話を聞いて、慰めて眠らせてほしかっただけなのにね。

今さら何なのと、怒っていいんだよ。怒らなきゃ駄目らしいよ。あなたが怒れば、私も思い出すかも。怒るのは怖いよね。パパやお姉ちゃんみたいに、モンスターになるかもって、思うよね。でも違うんだって。怒らないと、心と人間関係が育たないらしいよ。頑張ったね、もう怒っていいよ。みんなひどいもんね。


私は、あなたを抱きしめたいと思ってるんだよ。