自民党は27日、総裁選の投開票を行い、石破茂・元幹事長(67)を第28代総裁に選出した。石破氏は1回目の投票で2位につけ、決選投票で高市早苗経済安全保障相(63)を逆転し、勝利した。10月1日に召集される臨時国会で第102代首相に指名された。
昨日(9月27日)、この日の株式市場の取引が終了する午後3時前、自民党総裁選の第1回投票で、高市氏が第1位、2位に石和氏がつけた。株式市場は高市氏優勢を予想し、日経平均株価は午後になってから急上昇し、908円の大幅高でこの日の取引を終えた。ところが、3時過ぎの決選投票で石和氏が新たな自民党総裁に選出されるや、日経平均先物市場は急落を開始し、この記事を書いている28日AM6時現在、日経平均(CME)は2445円安の大暴落となっている。おそらく、来週の株式市場は大暴落で始まることは間違いない。株価は大きな悪材料に対して過剰反応するので、3000円を超える歴史的な大暴落もありえるだろう。
この株式市場のネガチブな反応は何を意味しているのだろうか。それは、日本のみならず世界が日本の将来に悲観的になっているからである。とりわけ、日本経済の低迷を先取りしているのである。高市氏は日本の国民を幸せにするためには、何より経済成長が大切であることを主張していた。同感である。対して石和氏は財政規律重視、金融課税導入、増税と、経済成長に逆行する政策ばかりが目立つ。株式市場がネガチブに反応したのも当然である。
自民党総裁選前の国民の大方は高市新総裁を期待していたと思う。彼女の明るい情熱や政治理念に共感するとともに、その情熱に心を打たれて涙した国民は多かったのではないだろうか。「初の女性総理誕生により、こんどこそ真の改革が進み、繁栄ある日本がスタートする」と誰もが期待していた。対してどうだろう、石和氏は経済成長とはする逆行する政策ばかりが目立つ。表情がどこか暗いのも気になる。経済成長には“暗いイメージ”は大敵なのである。
大方の国民や有識者の予想に反して、なぜこのような結果になってしまったのか。それは、自分のことしか考えない志の低い無能な政治家があまりに多いことや、国民不在の党利党略、(旧)派閥の力によって物事が決められる体質が旧態依然として変わらないことなどが挙げられる。物事がドロドロとした「ヨッシャヨッシャ」の曖昧な人間関係によって決められ、真に能力や情熱のある者が力を発揮できないのは、政治の世界だけでなく日本社会のありとあらゆるところに根付いている特質だと思う。それが、政界のさまざまなスキャンダルや、日本産業の停滞や企業の不祥事の温床になっている。このような状況は、総裁選を米国のように国民投票によって決める制度に改革しない限り変わらないのではないか。
新総裁誕生による祝儀相場どころか、全く逆の展開になってしまった株式市場の意味するもの。それは自民党のさらなる衰退だろう。石和総裁は早期解散をすると言っているが、それはできないのではないか。もし総選挙になれば自民党は大敗するだろう。一方で、不甲斐ない野党に政権を任せることはできない。しっかりしてもらいたい。大変動する世界情勢の中、日本国は漂流を続ける。