(”Music Teacher”提供画像)

 

 

伴奏はメロディの演奏を引き立てるものであり、メロディとうまく調和していることが望ましいことは言うまでもない。しかし、この条件を満たす伴奏を探すのは容易ではない。結局、意図に反して既成の伴奏に縛られてしまうことが少なくない。

 

そこで3年程前、自分で伴奏を作成することにした。そのために必要なのが楽譜作成ソフトである。音楽の知識がそれほどない中で、まずは安いことを第1の条件に購入したのがCrescendo楽譜作成ソフトだった。このソフトの特徴は、操作がし易いことである。直感的な操作と実際の使い方がよくマッチしており、すぐに使えるようになった。

 

しかし、1、2年使って習熟してくると、装飾音符が不足、形だけで実際に機能しない装飾音符がある、ほとんどの楽器の音質が貧弱、バグと思われる不具合が多い等々、機能や性能に関する多くの問題点がクローズアップしてきた。特に、私のように楽譜を再生して楽しみたい者にとって、楽器の音質がよくないというのは致命的だった。カスタマーサービスに問い合わせると、「このソフトは市場投入からの日が浅く、市場からさまざまな声を聴きながら改善しているところである」ということだった。

 

購入した商品に四苦八苦したあげくに、改善したバージョンアップ版には高額の料金が発生する。ユーザーからすればこれではたまったものではない。もっと、完成度の高いしっかりした商品を市場に投入すべきである。日ごとにメーカーに対する信頼は失われていった。未熟な商品を売って、さらにバグの対策をしたバージョンアップ版を高額で売りつけるというような悪質ともとれるような商売をやっていては、企業として最も大切な財産である信用を棄損するばかりだろう。

 

Crescendo楽譜作成ソフトを導入してから3年目、ある不具合を機に、ついに堪忍袋の緒が切れて他の商品に買い替えることにした。この決断にはかなり悩んだ。楽譜作成ソフトは操作が複雑な上に、メーカーごとに操作がかなり異なるからである。楽譜作成ソフトは将来的に使い続けることを前提に導入すべきだと思う。途中でソフトを他社のものに変更するとそれまでに積み上げてきたノウハウのかなりの部分を失ってしまうからである。

 

まず検討したのが世界標準ともいえるほど人気が高いFinaleの楽譜作成ソフトである。しかし、このソフトの体験版を使ってみたが、操作が複雑(煩雑?)で2,3日でイライラしながら諦めてしまった。残り少ない人生にのんびりと時間をかけるわけにいかないのである。ちなみに廉価版のFinale Elementは、どこも品切れになっているようです。

 

そしてつい最近偶然に出逢ったのがドイツのSteinberg社製のDorico Element5である。価格は最初に購入したCrescendo楽譜作成ソフトと同等で手ごろである。購入してから2,3日練習してほぼ全体像が見えてきた。さっそく、あるクラシックのMIDIファイルをインポートして編集してみたが、操作法が体系的によく整理されており、(まだ使い始めたばかりではあるが)性能や機能も申し分ないとの印象を持った。同じ価格帯でありながら、メーカーが違うとこんなにも機能や性能に差があるものだろうか。Dorico 5は島村楽器が推奨しているが、私もおすすめしたい商品である。

 

Dorico 5 により私の音楽の趣味に新たな世界が開けたように感じる。これからが楽しみである。

 

なお、以上Crescendo楽譜作成ソフトについては辛口の評価をしましたが、誹謗中傷するつもりは全くありません。社会に資すると考え、事実を踏まえて正直に書いたつもりです。改善して世界中から愛される商品になっていくことを心から願っています。

 

次回はDorico Element5を使って作成したオーケストラの伴奏によるクロマチックハーモニカの演奏を紹介します。