ユタ州在住日本人から見るモルモン教
ユタ州は、モルモン教徒が多いことで知られていて、人口の約60%がモルモン教徒です。年々減ってきているとは言え、モルモン教徒の割合がとても高い州。
2ヶ月前にカリフォルニアからユタ州に引っ越した私から見る、モルモン教を紹介したいと思います。
モルモン教とは
正式名称は「末日聖徒(まつじつせいと)イエス・キリスト教会」と言います。ニックネームがモルモン。
ユタでは頭文字をとってLDS(The Church of Jesus Christ of Latter-day Saints)と呼ぶことも多いです。
モルモンは、1830年にジョセフ・スミスによってアメリカで創始された宗教で、日本でも12万人の信者がいると言われています。
モルモン教の厳しい教え
アルコール飲料、タバコ、カフェインの入ったコーヒーや紅茶などの”刺激物”を口にしません。
特に、アルコールを購入できる場所は限られていて、アルコール5%未満のもののみスーパーで売っていますが、それ以上のワイン、ビール、リカーなどは州が運営する「リキュールショップ」へ行かないと購入できません。
なので、モルモン教徒と、他宗教/無宗教の人がお付き合いすることはもちろん、友達になることも難しいのです。
一夫多妻
一夫多妻のことをpolygamy(ポリガミー)といいます。
モルモン教=一夫多妻制の認識がある方も多いですが、現在はユタ州の法律で重婚は禁止されています。
ジョセフ・スミスの後継者ブリガム・ヤングが子孫を増やすために導入したものの、1896年にアメリカの45番目の「州」になる際に一夫多妻制の廃止が条件だったため廃止されました。
日常生活で一夫多妻の家族に出会うことはないですが、モルモン教から分離したモルモン原理主義派の方々で、一夫多妻を継続している人々がいるみたいです。
献金
モルモン教徒は、収入の最低10分の1を献金するように定められています。献金によって、神に近づけるという考えなのだそう。
世界中に1380万人ほどの信者がいるとされるので、モルモン教会に集まる資金はは3兆円にものぼります。
実際、町の至る所にあるモルモン教の教会(Temple)はどれも大きく、綺麗に手入れがされています。
避妊禁止
性交渉は子孫を残すことが目的のため避妊は禁止されています。
避妊目的でなくても、低用量ピルの利用はネガティブに捉えられています。
婚前交渉は禁止されているので、若くに結婚して子供を作る人が多く、避妊をしないので子沢山です。
実際、ユタ州は全国で一番平均年齢が低い州と言われています。
スーパーに行くと、5人子供を連れて買い物をしているお母さんを何人も見ます。
安息日
毎週日曜日は、正装をして教会へいきます。日曜日は、教会へ行く日・家族と過ごす日のため、買い物や外食をしてはいけません。月の始めの日曜日はファスティングをして、その食事に使われるはずだった金額を教会へ納めます。リキュールストアを含め、日曜日は営業していない場所が多いです。
マスターベーション禁止
子供達が戒律を守っているかどうかを確認するために「ウォージネス・インタビュー(価値の面談)」と呼ばれる面談があります。
面談は、洗礼を受ける年齢の8歳の誕生日に一回、12歳の誕生日からは少なくとも1年に1回、大人になるまで続けられ、マスターベーションやポルノグラフィーは「サタン(悪魔)的」だと教え込まれます。
最近ようやくこの「ウォージネス・インタビュー(価値の面談)」が子供に不適切なのではと問題になっています。
モルモン教は黒人差別的
ジョセフ・スミスの後継者ブリガム・ヤングは、黒人が黒い肌に生まれたのは呪われているからだと説明しています。聖書でケインが弟のアベル(アダムとイヴの息子たち)を殺した罰として、ケインの肌は黒く変わり、彼の子孫は黒人に生まれる運命になったと…
ヤング以外のプリーストも、黒人は前世に悪魔の味方をして神を裏切ったから黒い肌を持って生まれた人は呪われていると黒人差別を正当化していました。
自分を”呪われている’と唱える宗教を信じる黒人はやはり少ないですが、存在はします。
モルモン教徒はどんな人達?
今までモルモン教徒のイロジカルな面を紹介しましたが、実際に接してみるととても優しい人ばかりです。とても勤勉で真面目で、健康的な生活を送っているなという印象。また、厳しい規則があるため”形だけのモルモン教徒”というのは存在しません。全て規則を守ってモルモン教になるか、ならないか、はっきりした線がありますね。
そこまで規律のあるライフスタイルを送っていると、モルモン教徒でない人とお付き合いすること、友達になることはもちろん不可能に近いですし、住むエリアも、行く場所も違うので接点すらあまりないのです。