1950年に作られたフランスの芸術家、ジャン・コクトーの映画です✨






この映画は、ギリシャ神話のオルフェ伝説を現代版に描いた作品です。





オルフェ伝説とは、





トラキアの吟遊詩人のオルフェウスが、歌に気を取られて妻のユーリディスを死に奪われてしまいました。





彼は死の国へ行き歌で思いを訴え、妻を連れ戻せることになりました。





地上に着くまで妻を見るなと言われたが、後ろの妻を振り返ってしまいました。





そして、ディオニューソス(ギリシャ神話にでてくる神)の天使に引き離されて妻を永遠に失ってしまったという神話です。






この神話を聞いて、私は旧約聖書のある話を思い出しました。







ロトという男が家族と一緒にソドムという町に住んでいました。





すると天使からソドムを消滅させるというお告げを聞いて、夜が明ける前に家族とソドムから脱出して、近くの町に向かいました。







逃げる際に「決して後ろをふら返ってはいけない」と天使に忠告されていたにも関わらず、ロトの妻は後ろを振り返ってしまい、塩の柱となってしまったという話です。







この二つの話、よく似ています目







でも、旧約聖書の方がギリシャ神話よりも随分先に作られているので、旧約聖書からインスピレーションをとったのでしょう。







さて、この映画は「夢」がキーポイントになっています。(夢については以前お話させていただきました。まだ見ていないという方は是非こちらで👉http://s.ameblo.jp/mayarin22/entry-11302457533.html)







主人公のオルフェは死んでしまった妻を助けに行こうと死の世界に向かいます。





そこは天国でもなく地獄でもない生と死の境目である、そしてある男の夢の中の出来事である、すなわち「悪夢」であると表現されています。






そもそも悪夢とは何なのか?








さまざまな語源でこの「悪夢」という言葉は、悪魔が原因という考え、悪夢を引き起こす悪魔という考えが存在します。






しかし、悪夢は夢に悪魔がでてきたらそれだけが悪夢の意味にはなりません。







悪夢で重要なのはイメージではなく、夢がもたらす恐いという印象です。







例えば、夢の中であなたはすぐ目の前にある島を目がけて泳いでるとします。数メートルで着くはずなのに泳いでも泳いでも一定の場所にとどまっているだけで、いつまで経っても島に辿りつくことができません。




このような夢を見たら、恐怖心を感じませんか?(私だったらきっと汗びっしょりで途中で起き上がると思います叫び







あなたがその夢を見て恐いと感じたら、それは悪夢になるのです。






実際この映画の中の死の世界には、悪魔や恐ろしい幽霊などはでてきません。





オルフェは死んだ妻を取り戻すために死神である男から手袋を渡され、それをはめると鏡が死の世界への入口となり、そこから死の世界へ行くことができます。





その死の世界は不思議な息吹が吹いていて、普段のようにスムーズに歩くことができません。





まるで重力のない宇宙で、宇宙飛行士が歩くような感覚で歩いています。






そしてそこには死んだことを自覚していない人達が、あたかも現実の世界で生きているかのようにうろついています。





オルフェは死神の男に死の世界について、いろいろ質問し始めます。






すると男は「僕も詳しくない。ここは君の手袋の中だから。」といいます。






さきほどこの死の世界は、ある男の夢の中の出来事と表現されていると言いましたが、それはオルフェの夢のなかだと捉えることができます。






「君の手袋の中」を「君の夢の中」と言い換えます。





つまり、この死の世界はオルフェの悪夢になるのです。







死の世界をしばらく歩くと、とある部屋に辿りつきます。






そこにはスーツを来た4人の判事達が死の世界の住人を裁いています。





このシーンはまるでキリスト教の「最後の審判」をほうふつさせます。







そしてオルフェが2回目にまた死の世界へ行くときのシーン。






1回目とは違い、矛盾力に抵抗できずに必死で壁をつたって進んでいき、ナレーションで言っている「不思議な息吹」とやらに体を押し流されます。







ここはクリストファー・ノーランのインセプションで無重力の中、ホテルの廊下で闘ってるシーンを思いだしました。(ノーラン監督もオルフェの映画を意識して作ったのかもしれません。)






奥さんが死ぬ前の話に戻りますが、オルフェは詩の創作に没頭しています。(彼は詩人なので。)




そのため、妻の存在をうっとうしがっています。






そこで現れるのは女の死神なんですが、彼女はオルフェに恋をしたために彼の妻を殺して死の世界に連れていきます。







死の世界で彼女はこう言います。







「私達死は、下された命令に従うだけ。彼(命令者)は存在しない。彼の頭の中に私達は存在する。」






この彼とはオルフェと置き換えることができます。






私達は夢を見るときに、日頃の願望や思ってることが夢に反映されることってありますよね?







妻が死ぬのも、死神である女と愛するのも、彼の願望が反映されたものだと思います。





だからその命令というのも願望や思いであり、死神は彼のシナリオ通りに動くということです。






それはどういうことかと言うと、私達は夢の中で非常な早さで創作するのです。




夢の中のやりとりは予め私達によって準備されているのです。





つまり、夢の中で私達は劇場であり、観客、俳優、物語、自分達が聞いているセリフであるということなのです!






現実に戻ったオルフェは、自分のことを嫌う市民達に殺害されて2回目の死の世界に行きます。(これも恐らく彼の願望であり、自分が死ぬことで死の世界で永遠に女と一緒に生きていくことを望んでいる。)







彼女と一緒に生きていくつもりが、そこで彼のシナリオがくつがえされます。







死神は彼を現実の世界に戻すために時間を巻き戻して、彼を元の世界に生きかえらせたのです。







生き返った彼は今まで起きた出来事の記憶がなく、妻と幸せそうにしています。






一方、命令に背いた(オルフェのシナリオを変えた)死神には、残酷な刑罰が待っています。






その刑罰は映画の中では明らかにはなりませんが、死ぬことよりも残酷で苦しいと表現されています。(彼らは死神なので死ぬことができません。)






彼女にとって死ぬことよりも残酷と言ったら、オルフェの記憶から消されて闇に包まれた死の世界で永遠に孤独に生きることなのかもしれません……。







みなさま、最後まで読んで下さってありがとうございました(>_<)💦
この記事を書くのは今までで一番難しかったですドクロ

今の段階の私の持っている知識を豆粒ぐらいの脳みそから絞りだすのは本当苦労しましたヽ(;▽;)ノ

本当はもっと分かりやすく、適確に説明したいのですが……



ってこんな弱気じゃこれから本格的に映画評論の仕事をするときどうするんじゃーー!!パンチ!ドンッドンッ

今年ももっともっと評論の力をつけて、みなさんに楽しんでいただける記事を書きたいと思います(思いますっていうか、書きます!!)ので、これからもよろしくお願いします♪( ´▽`)
ドキドキMayaドキドキ

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