書いてたら自分が興奮してきて大層長く長くなってしまった。(ほんっとに長いんだ、コレが。これでも削ったの。)
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2006.09.12(木)
文楽『仮名手本忠臣蔵』第一部@国立小劇場 10時半開演
大序 鶴が岡兜改めの段~四段目 城明渡しの段
お席:5列目・床真下!
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四ツ谷からとっとこ歩いて、10時ちょっと前に半蔵門に到着。
自分の真ん前を和生さんが歩いていらっしゃいました。
5月も目の前を和生さんが歩いていらっしゃったんだけど、その時は何せ2度目の観劇だった為に名前さえ判らなかったんです
。
進歩?(笑)
幕開き三番叟もちゃんと観て、やっぱりCD買うか借りるかしようと決心。
三番叟観ると気分が高揚致しますね。
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一部を観た感想。
簡単に言うと、あっという間に終ってしまった!という事。
展開に弛みが無く、見所聴き所が多い為にぐいぐい引っ張られて気がついたら休憩。
休憩後の四段目でじわ…と重さが来て、休憩前2時間と同じくらいの感覚を味わってました。
「どこを切っても見所」
と言われる所以を垣間見ました。
二部まで観れば良かった!と思った位。
でも観なくて良かった。
お陰でものすごく二部が待ち遠しいのです。
ただ、歌舞伎でも五六段目しか観た事がない(今年の浅草歌舞伎で、何度だろう?5回くらい?)私が言うのもナンですが、急いているという印象を受けた事も事実です。
床がどんどん変わるから?舞台の転換が多いから?
私としては、ウワサによく聴いていた、文を届けに来るおかると、勘平のくだりを見たかったのですが、そこは無かったですね。
そこがあると単独で観ても泣ける五六段目の悲劇性の深さが、より深まるような気がするのですが、どこを切っても見所って事は、どこを削るのも難しいって事ですから…苦肉の策なのですよね。
勝手を言うのは余所者。すいません~
でもでも懐からいきなり手紙を取り出す判官見て、うっかり「家で預かったんかい?無頓着に?!」とツッコミ入れそうになりましたんだもん。
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■ 大序 ■
『鶴が岡兜改めの段』
御簾内だったので、誰がいつ語ったのか判らなかったのが悔しい!!御存知の方教えて下さい…
最初の太夫さんは声が硬かった様に思います。
文吾さんの休演で玉也さんが高師直。
玉也さん、斧九太夫も遣われているんですよね。夏休み文楽では三河屋義平次だったし…
ああいった、やらしい・小悪党的爺のお役が持ち味なのでしょうか?
『恋歌の段』
津国さんはお声が前に出る方なのですね。
床真下のお陰で、ホールの反響を受ける前の声が自分に届いたので、驚くほどお声の違いが判りました。
床下席を取って良かったです。(と言いつつ、三味線弾きさんのお手をしょっちゅう盗み見ていたのですけどね~。手フェチなので。)
途中貴大夫さんと津国さんが同じ詞をほぼ同時に言ってしまって顔を見合わせるという一幕がありました。
どちらかのミスだったのかしら?初日2日目のハプニングですね。
師直のいやらしさって、会社でかわゆいOLが給湯室でお茶を入れている時に、こっそり入って来て手を握る親父管理職のようです。
セクハラ110番出動!!
むっつり助平ぽい~。
■ 二段目 ■
『桃井館本蔵松切の段』
松香さんのお声が好みで心地良い張りがあって「好きだ!」
そして喜一朗さん。手が大きくて美しいですねー!筋張った手の甲とかいいですね。
どこ見てるんでしょう。
全段を通して判官の悲劇の発端であり、自身もまた悲劇の中心となる本蔵登場。
主遣いは玉女さん。
足は玉勢さんです♪
本当に贔屓目バリバリだけど、本蔵にせよ、後で出てくる石堂にせよ、足の形がとてもきれい。
立っている時も座っている時も動いている時も、普通に地面の上にいる。
もっと左とか主を観たいなあ。これから観れるのでしょうね!
★本蔵が馬に乗るのに、左足を放り投げるんですね!!思わず目を瞠ってしまった~!あのシーンをもう一度ぉお!!
■ 三段目 ■
『下馬先進物の段』
団吾さん弾く時なんだか身体が傾いていらっしゃいません?
自分が三味線を弾くようになってから、身体が傾いていく事を自覚するんですが(左が下がってくる)、恐ろしく弾きにくいんです。
なのにあれだけの音を出せるって言うのは…ちょっとスゴイ。
呂勢さん。
やはりお上手ですけど、自信に満ち溢れているっぽさを感じてしまってちょっと嫌でした…勝手ですよね…けして嫌いじゃないのに何故だろう。
今回、肩衣のお色と見台の房のお色がお揃いで、かわゆかったです。さすが見台持ち!!
どの太夫さんでもですが、語られている最中のお顔が楽しい。百面相なんだもん。(失礼過ぎ…)
この場面、師直は終始駕舁から出ません。そこがまたふんぞり返った大名らしくて面白い演出だと思いました。
『殿中刃傷の段』
伊達さんのお顔を拝見するたびに何かに似ている、と思ってたのがやっと判りました!ああすっきりした!!
でもこれを言うと絶対どこかで怒られそうなので、黙っておきます。
気になる方はコメントかメール下さい。(笑)
伊達さんと清治さん。
まだまだ聴き足りない自分でも、好きな太夫さんの一人。
やっぱり良かった!!
声が悪いという批評もあるそうですが、それを十二分にカバーする間の取り様。
とても良くて、どんどん身体に染み込んでくる感じ。
詞がはっきりしていて、間がある・なしで語り分けられて、生体リズムに無理なく乗って来る というのが、いいですね。
すごく難しいところだと思うのですが、十分に聴かせてもらいました。
清治さんの三味線の音も出しゃばり過ぎず、かと言って心が乗っていないわけでなく、まさしく固唾を飲んでました。
武士の誇りとか体面とかって命を奪う程に大事なものなのでしょうか。いつもながら、すごく切なくなってしまいました。
判官を抱き止めたのが本蔵の悲劇の始まりなんだけど…目の前でいきなり乱闘騒ぎが起こったら、人間の心理として、思わず掴みかかる方を止めるよね?
『裏門の段』
初めて(ホントに今回失礼多すぎ)新大夫さんの語りを嫌いじゃないなと思いました。
清志郎さんのお手も美しかったのですよ~。青筋の出ている手の甲が好きらしい。
様々な人の思惑と動乱に全く関係なく、逢瀬を楽しむおかる・勘平。
ていうか判官に付いて来て外で神妙に待っているかと思いきや、そんな事しとったんかい。
ここがね…文渡しがなくて残念だったと思う訳で…。それは冒頭に書いたので割愛。
■ 四段目 ■
『花籠の段』
実際の話として、斬り付けなくとも殿中で刀を抜くだけでも大罪だったそうなので、怪我を負わせた時点で判官の切腹は決まってしまっていたと思います。判官も重々承知で、後の使者を迎える時には既に死に装束を調えていたのでしょう。
顔世がせめて明るい気分をと飾る花籠の愛らしさと、家の中の明るさが悲しみを掻き立てますね。
好きな段ではありますが、折角の英さんはもっと聴きたかったです。ちょっと語りを聴くには物足りないかな…。
『塩谷判官切腹の段』
好きな太夫さん、もう一人。十九大夫さん。
ダンディー。お声は渋く、でも渋すぎていつも「3大テノール」を思い出すのでそれは問題。(私のな…)
富助さんの三味線は、鋭いと言えば良いのでしょうか?
真下で聴いていると心臓がどきーん!とする程、皮膚も肉も骨も通り過ぎて直接響いて来て、この場の重さと共にわが身を切り裂くようでした。
好きだなあ。もっと別のも聴いてみたいです。
この段は…
判官の恨みの向きが切なかったり怖かったり(師直というより、むしろ本蔵を呪ってますよね…)、極限の中でのそれぞれの思惑だったり、潔く切腹する判官、死の間際に辿り着いてしまった由良之助…何から何までが破滅へと導いていくのでともかく疲れました。
息をするのが申し訳ないって思う程きつかったです。
その中で簑助さんの由良之助。
拍手が無くとも、黒衣だったとしても、きっと簑助さんって分かったと思う。
目の錯覚だけれど、光があったように見えました。
そして色気がある…。
簑助さんご自身に色気があるからなのか?遣い方に滲み出るのか?
それは分かりませんけど、色っぽかった…。
石堂右馬丞の足も玉勢さんだったのですよね。
じっと座っている事の多いお役ですが、座っている足がやはりちゃんと床を踏みしめていました。ぶれないんですよね。
育ちの良い道理を弁えた使者らしくて良かったです。
勿論、主遣いの玉志さんと左遣いの方が上品に見せていたからこそでしょうけど、そこは贔屓なので。(笑)
『城明渡しの段』
ここは人形の独断場。奥行きのある舞台の真ん中から一歩一歩歩む由良之助。
提灯の家紋をじっと見つめ切り取り、極まる。
そのきめに合わせてたった一声御簾内での太夫さんの詞。
簑助さんで由良之助で、たった一言でその段はおろか一部の全てを締める事になる訳で…
結構難しいのではないでしょうか。
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床下だったせいで、というかお陰でというか、元々音楽バカなので(浄瑠璃は音楽ではないですけど)というか、人形より太夫さんにやっぱり意識が行ってますね~。
頭に書いた様に、たっくさん場が変わって床もコロコロ変わった為に余計に意識したのかも知れません。
三段目と四段目の間が休憩時間で、2時間、1時間だったのですが、その後半の四段目が一番疲れた…。
そして、四段目を見終える頃には二部も観る様にしておけば良かった!と思っておりました。
続きが楽しみで仕方がないって久々の感覚です。
二部は今週土曜日!!ああ早くコイ来い!