2022年4月17日81歳になった母。75歳頃から、母の頭の中に消しゴムが生まれ、少しずつ少しずつ、母の記憶を消していく。
例えるなら、床を自由に動き回り、掃除してくれるロボット。あれ、なんて言ったっけ(笑)
こっちが頼んでもいないのに、あちこち動き回って、母の記憶を消しまわっている。
ずっとデイサービスとショートステイを利用しながら、独り暮らしをしてくれていたけれど、2022年夏、予定外に3週間のショートステイを利用することになり、久しぶりに迎えに行くと母は激変した姿で戻ってきた。
母の認知の状態は、著しく低下しており、寝て起きると、もう、わたしのことを忘れるようになりました。
もっともっと、歳を重ね、もっともっと弱ってから、私のことを忘れると思っていけれど、そうじゃなかった。
学校では、『親は歳をとるんですよ。歳をとったら、こんなことが起こりますよ』など、一切教えてもらわなかったなと思いながら、初めて遭遇している、親が歳をとるということをありのまま、お伝えすることで、誰かの、何かのお役に立てればと、このブログを更新しています。
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今朝、私が小部屋から大部屋に向かうと、母はいなかった・・・。
え??
私は、小部屋で目を覚ましていたのに、玄関を出ていく音がわからなかった。
大部屋に入るときに、一枚扉がある。
その扉を開け閉めするときの音と、玄関の音の違いがわからなかったのだ。
あらららら・・・
大部屋のベランダの掃き出し窓のカーテンは、きっちりと閉められていて、今から出て行きますよと考えて部屋を出て行った様子がうかがえた。
あらららら・・・・
朝から、小部屋の扉は、何度か開けられていた。
私は、目が覚めていたけれど、まだ、横になっていた。
母は、開けて、また閉めてを繰り返していた。
私が寝ているので、声をかけることはなかった。
朝も、出て行くんかぁ・・・・
デイサービスの鞄は置いてある。携帯もある。
そう思っていたら、母が帰ってきた。
「まだ、迎えに来はらへんねん・・・」
朝、8時にもなっていないのに、母はデイサービスの迎えが遅いという。
迎えが来る日であっても、9時過ぎです。
そして、ここ最近は、私と共に、10時に家を出て、私がデイサービスにおくっていっております。
「お母さん、迎えにきはらへんって、まだ、8時にもなってないやん」
「そうかぁ~」
どこかに行ってしまわなくてよかった。
母は、もう、何かを食べて、そして、朝の薬も飲んでいた。
フライパンに残していた朝ごはんのおかずは消えていた。
まあ良い。自分で食べて薬を飲むなら、それで良い。
ふと見ると、母が、気の小さなまな板を、床に置いて、その上にフライパンを立てかけるような形で、水気を切ろうとしているが、まな板を床に置かないでいただきたい。
「お母さん!まな板を床に置かんといてよ!」というと、どれがまな板か、わからない様子。
「どれ?これか?」とフライパンを触ったりしている。
「これやんか!」と、まな板を取り、フライパンを別のところに持っていくと、
「それが、まな板か。知らんかったわ」というので、「まな板も知らんのか!」というと、「もう、死ななあかんなぁ」と、ベランダに出ながら、独り言のように言った言葉を聞いて、「はよ死ねよ」と、つぶやいた私。
怖っ
ひえ~~~~
今、私、はよ死ねよっていうた~~~~
早く死んでほしいと思ってるんか?私。
自分が言った言葉で、今日一日、心がざわついている。
先ほど、テレビで、短歌の紹介がされていて、思わず、短歌を詠んでみた。
「はよ死ねよ」
思わず吐いた自分の声が
時が経ってもリフレイン
怖っ
こんな短歌、つくったらあかん。
まさか、私の口から、そんな言葉が飛び出すとは、
恐ろしや、恐ろしや。
黒兎誕生
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母の様子がおかしいと気が付いたきっかけや、
2020年秋までの母との4つのエピソードを書いています。
小さな10ページの読み物です。