2021年3月6日7日

 

母は、人生初のショートステイに行きました。

 

帰宅時間が近づき、私と娘は、母の自宅に向かいました。

 

途中、施設から電話があり、

 

「特に問題なく、過ごされました。今から、お送りします」ということだった。

 

母の自宅の到着した私は、玄関のドアを開けっぱなしにし、マンションのエントランスから、駐車場の脇の通路を通って、母が帰ってくる様子をみようと待ち構えていた。

 

きたきた

 

母は、職員さんに連れられて、マンションのエントランスを通る。

 

(あっちょっと待ってください)

 

そういって(そういったようにみえた)、集合ポストを確認しに行った。

 

余裕である

 

「のんちゃん。みてみて。ばあちゃん余裕やで。職員さん待たして、ポスト見に行ってるわ」

 

私と娘は、元気に帰ってくる母をみて、笑った。

 

母は、玄関ドアが開いているのに気が付き、

 

(あっ開いてるわ。娘がきてるんやわ)

 

といいながら(いったようにみえた)

 

ずっと職員さんにしゃべり続けながら、3階まで階段を上がってきた。

 

娘は動画を撮っている。

 

母は、無事に、ご機嫌さんで帰宅した。

 

玄関先で、私と職員さんが挨拶をしていると、家の中に入った母は、もう一度玄関まで出てきて、職員さんに

 

「さよなら~~またね~~」と手を振りに来た。

 

職員さんを見送り、家の中に戻るとき母の背中に、

 

「今、どこ行ってきたん?」と聞いた。

 

「○○〇えん やん」

 

と、いつものデイサービスの名前を言った。

 

別の場所に行ったということも、一泊したということも、何も覚えていなかった。

 

何も覚えていないけれど、辛くはなく、楽しかったのなら、もう、どこにどれだけ預けてもいいといえる。

 

「お母さん。誘拐されても大丈夫やな。楽しく過ごせるわ」

 

そういって笑った。

 

娘と母は、

 

「ばあちゃん!ばあちゃん~~」

 

「のんちゃん!のんちゃん~~」

 

と抱き合って再会を喜びあっていた。

 

 

さっそく、娘は本日の脳トレをばあちゃんにさせ始めた。

 

 

 

翌日の月曜日は、デイサービスがないこともあり、母を自宅に連れて帰ることにした。お風呂に入れて、夕食を共にする。

 

私「うちに来て、ご飯食べるか?」

 

母「また送ってくれる?」

 

娘は小声で(お風呂に入れんくてもいいの?)と言ったが、

 

(その時に、言うたらいいわ)と合図を送る。

 

母は、「そしたら、行くわ」と良い返事をした。

 

娘は、わ~いと喜んだ。

 

お風呂に入れるのは、娘で、夕食の準備は主人だけれど(笑)

 

もし母が、夕食の後、もう帰るわ。といったら、送っていく覚悟をして、連れ帰った。

 

母はこの日、夕食が終わっても、もう帰るわと言わず、娘と一緒に2階の娘の部屋で眠った。

 

あ~~安心感。

 

昨夜の私のざわざわな心は、もう遠いどこかにいってしまった。

 

今頃、何してるだろう?と思わなくていいというのは、こんなにも心が安定するのだなと思った。

 

毎日、毎晩、どうしてるだろう?と思ってるわけではないのだけど、ショートステイ後は、特にそれを感じた。

 

でも、この安心感、娘のおかげなんだよな。

 

娘が今、家にいるから、お風呂に入れてくれたり寝かしつけたりしてくれるけど、これ、私一人では無理やな・・・

 

4月から、自宅から2時間かかる大学に行く予定。サッカーも続けたいと言っているので、もう、こんなにゆっくりと母にかかわってくれることは、あまりないかもしれないなぁ。

 

この日、私はゆっくり眠れました。

 

次の日の朝、にこやかに娘と共に起きてきて、一緒に朝ごはんを食べ、本日の脳トレを始めた。娘が(笑)

 

いつも、朝ごはん食べたかな?と考えるが、そのことを思わなくていいのは、気が楽である。

今日は、何時に母のところに行こうか?とか、そういう段取りを頭の中で巡らせなくてもいいというのも、楽だと感じた。

今まで辛いとは思っていないけど、気忙しかったのだな。

 

朝ごはんを食べて、脳トレが終わるころ、、ケアマネージャーさんから、電話がかかってきた。

 

「施設滞在中、一度も、不安な声をだされなかったそうです」と。

 

ここどこ?とか

 

家に帰りたいとか

 

一度も何も言わなかったらしい。

 

ほかの利用者さんとにこやかに会話をし、夜もよく寝ていたということだった。

 

「優等生です」と。

 

 

少し前までは、

 

「そんなところ行かなくてもいい」とか、

 

「泊まるところは嫌や」とか、

 

いろいろ言ってたのに、機嫌よく過ごせたことはいいことだけど、そんなことも気にならなくなったのは、そこまで認知症が進行しているともいえる。

 

そのことをケアマネージャーさんに話したら、

 

「いつもその場その場を楽しめて、すごいと思う」と。

 

ケアマネージャーさんも、ここどこ?とか、家には帰らないの?とか、何度も聞いたりすると思っていたみたい。

 

母は、こちらの予想に反して、優等生で過ごした。

 

何も問題なしだったので、4月、5月も月二回の土日にショートステイを利用することとなった。

 

 

 

電話を切ったら、母が、私に、

 

「もうかえるわ」と言った。

 

私の家に来ていると、もう帰りたくなるのだな。

 

母の家に、おにぎりを作ってきたので、お昼は、それを食べてくれることを祈りながら、母を送り届けた。

 

 

というわけで、母の人生初のショートステイは、無事に問題なく過ごして終了しました。

 

 

 

めでたしめでたし^^