母が無くした銀行の通帳を再発行し、そして、年金が入ってくるところといろんな生活費が引き落とされるのとを一つにまとめました。
やれやれ、これで、私が通帳を預かっているということを言わないで、また、銀行から送ってくるからということを言い聞かせていました。
この頃の母は、覚えていたり、忘れていたりだったので、そういわれたときは、そうか。わかったと返事をして終わります。なので、ちゃんとすべての事実を母に伝えないようにして、その場を穏便にやり過ごすという方法をとることにしました。
が、ここで、問題が発生しました。
『通帳がなくなった』から、再発行の手続きや、その他が完了するまで、約2カ月を要していたのです。その間、引き落としがされていないという状態があったので、督促状が、送られてくるという状態になってしまっていました。普段はお金のことを忘れている母も、はがきが送られてくると、「通帳はどこにいったかな?払ってないということは払いに行かなあかん」という思考になります。すると、私に電話がかかってくるのです。
「あんた、通帳知らんか?払えてないって書いてある。これ、払わなあかん。こんなん恥ずかしい」と少々パニック状態です。
そうか・・・。郵便物を私のところに転送してもらうようにしなあかんのか。
やっと気が付く私。
だれか、はよ。教えて。そういうこと。
というわけで、転送手続きは後日したのですが、とにかくそのはがきを母の目の前から無くす必要があります。
電話で、もう、それは大丈夫といったところで、また、そのはがきをみると、このやり取りが振り出しに戻りますので。
というわけで、これもまた忘れもしない日。
娘が高校入学したその日です。
娘に、母のマンションの部屋までそのはがきを取りに行ってもらったのです。
私は、マンションの下に車を停めて待ってました。
娘には、はがきだけ取ってきたらいいからと伝えて。
私が行けばよかったんですが、また、いらんことを言う可能性もありますし、娘が、サッととってきてくれたらいいと思って頼んでしまったのです。
結構時間がかかり、娘が降りてきました。
「ありがとう」というと、「うん」と少々元気がないのです。
どうしたのか聞くと、母は、孫にまで
「私に死ねということか?」という類のことを半分キレて言ってきたらしいのです。
本当に、この頃が一番ややこしかった。
娘は、泣きながら私に説明してくれました。
高校入学したその日に、祖母からひどい言葉を浴びせられるなんてかわいそうに。
本人も、そんなこと言いたいわけじゃないよね。ほんと病気やねんな。これが、認知症の怖さやな。
それにしてもなぁ。ずっと頑張って働いて、子ども3人を女手一つで育てて、3人とも結婚して、それぞれ孫もいて、そして、自分の家も手に入れて、人生の最後が、認知症になって、かわいい孫に罵声を浴びせるって、そんなんあるか?何が悪かったん?誰も悪くないよな。
娘に、「ごめんなぁママが行けばよかったなぁ」と車を自宅に走らせながら、頭の中は、どこにもぶつけることのない怒りでいっぱいになっておりました。
というわけで、親が、ややこしくなってきたら、郵便物を転送するということをお勧めします。
次回は、『認知症の親にお金を渡す方法』をお知らせします。