今日は、母を自宅に招いて、誕生日会をした。
少し前までは、うちの家に泊まったりしていた。
しかし、今はそれも難しい。
何をしに来たとか、今から何をするのか?とか、そういうことがわからないというか、忘れるので、何かし終わるたびに、
「さあ 帰るわ」というのである。
なので、活動と活動の間に、「間」があるとだめだ。
ご飯を食べて、ほっこりする。
なんてことはできない。
なので今日は、作戦を立てた。
昼の準備ができた時点で、母を迎えに行く。
今日の場合は、私がケーキを焼き、ご主人様がカレーを作る段取り。
娘とともに迎えに行き、実家のマンションで娘を降ろし、娘がばあちゃんのお風呂の用意をして降りてくる間に、近くのスーパーに買い物に行った。買ったものは、後ろの荷物入れにいれ、消毒をする。
母と娘をピックアップし、自宅に戻り、買ってきたものを、念入りに除菌して、お昼ご飯をみんなで食べた。
「79歳になったんやで。79歳ってすごいよなぁ」とみんなで言い合った。
母は、世界がコロナウィルスと戦っていることなど知らない。
今まで通り、幸せな世界に生きている。
カレーを食べた後、娘とともに、庭の草抜きをしてもらう。
そう、何かしていると、「もう帰るわ」と言わない。
その間に、私はケーキの仕上げを行う。
今までに1000個以上のシフォンケーキを作ってきたが、プレーンのシフォンケーキに生クリームと苺でデコレーションしたのは初めてだ。
娘は、生まれた時からありとあらゆるものにアレルギーがあったので、私が作ったケーキを食べるということはほぼなかった。
「79やのに、ローソク5本やな」
そういうことは、言える母。
みんなで初めてのデコレーションシフォンケーキを食べる。
本当は、私が日本一おいしいと思っているケーキ屋さんの苺ロールケーキを買ってこようかと思っていたが、買いに行くリスクを考え、いろいろ考える時点で、作ったほうが安全だなと思い、作ることにした。
こんなことがなかったら、作ることはなかっただろう。
娘が一口たべてすぐ「誕生日に、これを作ってほしい!」といった。
あと10か月後の誕生日に作ることになった。
ケーキのあとは、お風呂である。
お風呂は、娘が一緒に入ってくれる。
「え~~お風呂入らへんわ~何にも持ってきてないし・・・」というが、娘が母を迎えに行ったとき、用意して持ってきている。
お風呂から上がったら、娘はばあちゃんにまずお水を一杯わたして、そして、うちわで扇いであげていた。それからドライヤーで髪を乾かしてくれる。
髪がきれいに乾いたら、
「もう、帰るわ」とばあちゃんが言った。
「そうやろそうやろ。送っていくわ」
そして、また3人で車に乗って、母の自宅に向かった。
「もう、買い物は行かないほうがいいから、私が買ってくるわ」
そういって、お昼に行ったスーパーの駐車場に二人を待たせて、買い物に行った。パンやコーンフレークや明日のヘルパーさんの調理のための食材などを買い、そして、また車の後ろで消毒をした。
車の中で、
「今日は、何した?」というと、
「お風呂入った~」と答えた。
「何食べた?」というと
「わから~~ん」
カレーもケーキも胃袋だけが知っている。
母を送った帰りに、娘に
「ありがとう。今日、ばあちゃんのこと」というと
「え?べつにがんばってないで」といった。
「でもな、ほかの誰にもできないことやで。それが、すごいことやねん。隣に住んでる、じいちゃんと、こんなことできひんしなぁ。気の合う二人やということやなぁ。この世で、唯一の組み合わせやな」
娘が、ばあちゃんのこと大好きで本当によかった。