私の卒論の中に、「その時の文化・社会に適応してよいかどうか吟味することなく適応してしまう・・・」という記述があるが、これに関し、私は、今、こんなことを考えている。

 幕末の坂本龍馬武市半平太だ。

 二人とも、土佐藩出身のやり手であるが、二人の考え方は大きく違っている。

 坂本龍馬は、薩長同盟を成立させた男であり、武市半平太は土佐勤王党のトップだ。

 二人の何が大きく違うのか!!

 結論から言えば、「藩」というものに分かれていた当時の日本において、坂本龍馬は、その「藩」の枠を飛び越え、自分のことを「日本人」と考えていた数少ない一人であり、武市半平太は、やり手とはいっても、あくまでも「藩」というものの枠内で考えていた、ということだ。

 二人のうち、どちらの考えが正しかったかは、21世紀の私たちには、わかりきっていることだ。

 「その時の文化・社会に適応してよいかどうか吟味することなく適応してしまう・・・」の言葉は、このような深い意味を秘めているのだ。