運命に出会う瞬間について、ブーバーから引用したいと思います。
「わたしの意志の力を生み出すすべての素材は、焔のように渦巻き、しようと思えばすることのできるあらゆるものごとが、わたしの周囲にひしめき合っている。それらはいまだ現実とならず、もつれ合ったまま、ひとまとめにして投げ出されている。実にさまざまな力が、またたく星のように無限の彼方から光り輝き、天地はわたしを限りなく誘惑している。しかし、わたしはそれらのうちに隠れている唯一の行為 ―わたしを求めている唯一の行為― を探すために両手を焔のなかにつき入れ、そしてそれを掻きまわす。こうして、わたしは一瞬にしてただ一つの行為を捉える ーいま、この一瞬に・・・・・・。」
ブーバー著 「孤独と愛」 創文社 p77
このように人間は自分の人生の真の方向を見出した後は、安定を見出さねばなりません。そしてこの安定は、他の、生産的に生き続け、人生の真の方向を見出したなんじとよべる人間と出会うことにより、得られるものなのです。この人生の真の方向と真の安定を見出した人間は、この関係の中で天職を通じて自己を実現し続けていくことに、全能力を集中させて生きていくのです。