彼らにとっては、このわれわれという集団だけがすべての世界であって、決して自分たちの集団を全体の中の一つというようにはかんがえないのです。彼らは、こうしたわれわれという集団の枠を越えることができないし、また越えようとも思っていない。このような集団の中では、人間の個性は正しく評価されないし、また発展することもできません。なぜなら個性の存在は、集団を乱すだけのものだからです。

 彼らは集団の中に紛れ込むのではなくて、そこに落ち込んでいる。彼らは自分を、人間存在としての自分を放棄し、誤魔化しているのです。