このように、自分がいつか死ぬということの受容や、孤独である自分を認めるという事実は、人間に不安と無力の感情を引き起こすのです。

 ここで、この不安と無力の感情を回避しようとして、完全に個性をなげすて、外界に没入しようとする生き方が生まれる。

 しかしながら人間は、この不安と無力の感情に耐え、個性をなげすてることなく、生きていかなければならないのです。

 前者の過程を権威主義の過程、後者の過程を自己実現への過程と名づけたいと思います。