これらのことから、人間は常に関係のなかに存在しているといえる。人間はたえず、ものとかかわりつつ、他の人びととかかわりつつ、同時に自己自身とかかわりつつ存在している。そしてそれにもとづいて、世界は、「事物世界」、「共同世界」、「自己世界」の三つのアスペクトをもっていて、なおかつ、人間のとる二つの根源的な態度にもとづいて、世界は非生産的世界と生産的世界との二つとなり、一人の人間においてどちらの世界が優勢かという違いはあるが、人間はたえずどちらかの世界に生きているのです。

 人間とはこのように、本来関係的な存在であるといえるのです。

 三章をまとめるならば、

 人間存在とは、自己自身の存在可能性をたえず実現しつづけると同時に、関係の中に存するものであり、生産的存在と関係的存在との統一という意味をもつものなのです。